1941年中国大陸・台湾・石垣島皆既日食(37)

東北帝大加藤助教授の手紙と与那国島日食遠征計画書、輸送依頼書

 1941年(昭和16)7月23日の、東北帝国大学 加藤愛雄助教授の手紙です。ロタ島行き中止から急遽、与那国島に日食遠征先が決まったことに対する礼が書かれています。

 「謹啓

日食観測の件につき種々ご配慮に与り有難く厚く御礼申し上げます。

一昨日中村先生より速達を以て与那国島行きの件御依頼致しました 何卒よろしく御願い申し上げます

別紙 本学総長よりの許可申請書同封致しましたから よろしく御配慮下さいませ

尚 同文 写 西部防衛司令官へも発送して貰いました

尚 与那国島へは 石垣島より発動機船を雇って行くつもりで居りましたが 仲々船は少ない由

若し蘇澳(そおう、台湾)より(蘇澳着は9月2,3日頃)水路部の観測船を出して戴ければ 甚だ幸いであります 如何なものでしょうか 勝手ながらお伺い申し上げます

明24日若しくは25日上京 御拝顔の上 種々御指導を賜り度く存じて居ります

先は右御願いまで

7月23日 加藤愛雄

秋吉利雄様侍史」

 ロタ島日食遠征観測中止決定後、急遽作成された与那国島遠征計画書です。

「昭和16年7月26日 東北帝国大学総長 熊谷岱蔵

海軍次官 澤本頼雄殿 

日食観測に関する照会

本年9月21日の皆既日食に際し 左記に依り 地磁気及地電流の変化を観測致し度に就ては 左記事項御許可方 御取計願上候

1.観測地 沖縄県八重山群島内与那国島

1.観測員氏名 東北帝国大学助教授 加藤愛雄

       同      講師 佐藤隆夫

       同      助手 斎藤良一」

「東北帝国大学実験補助 佐々木芳治

1.滞在日数 

 自 8月24日 至 9月30日

1.観測事項

 イ、地磁気、地電流の皆既日食時に於ける変化

 ロ、コロナの輻射

 ハ、全天輻射の変化

 ニ、一般気象

 ホ、観測小屋及観測状況の写真撮影(海岸線及高度撮影を含まず)

1.携行物

 地磁気及地電流観測器、望遠鏡、輻射計、写真器、活動写真器、その他附属品、観測小屋(終)」

「本件写送付先 水路部長」

 以下は、東北帝国大学 松隈教授班 日食観測計画に関する文書です。日付順に掲載します。

 上は、佐世保海軍港務部 有馬副官の手紙が入っていた封筒です。

(引用)

故秋吉利雄氏保存資料

中村鏡とクック25cm望遠鏡

2016年3月、1943年製の15cm反射望遠鏡を購入しました。ミラーの裏面には、「Kaname Nakamura maker」のサインがありました。この日が、日本の反射鏡研磨の名人との出会いの日となりました。GFRP反射鏡筒として現代に蘇った夭折の天才の姿を、天体写真等でご紹介します。また、同時代に生きたキラ星のような天文家達を、同時期に製造されたクック25cm望遠鏡の話題と共にお送りします。

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