ローソップ島状記(13)
(13)
日に内祝をなすのみ
葬式は 親族縁者集合し 執行するも葬をなさず 死者の体の寸法を取り 椰子又はパンの木の板にて箱を作り 其の中に納めて 翌日自宅の傍に埋葬す 土葬なり 墓には墓標を立てず ビールの空ビンを逆さに土中に押込み 円形又は方形を作り標式となせり 其の後方に 極めて小なる木製の小屋様のものを置けるものあり 又 一般に墓に椰子の木を植える習慣あり ローソップ島には 共葬墓地無く 調査せる所 墓数も極めて僅少なり 数十年前には 何人を何処に埋葬せしや 不明となること明らかなり 従って現在成長せる椰子の木の大部分が 墓標なること明かなり 人の死亡せる時 家族は約2週間程 大声談笑を慎む 又 人に依りては 自己の家の周囲に 椰子の木に紐を張り廻し 其の紐に 椰子の白き新葉を結付け 他との交際を禁ずる者あり 此の紐は 自己に於て満足する迄張り置くものなり
冠の意味の祝をなさず 祭はクリスマス 及 正月になす 当日は馳走を作り 青年団は運動会を行え ランニング日本式 相撲 カノー競走等をなす 現在に於ては 島民踊りは絶対に行わず 其の他の祭日は 日本暦に国旗交差せるを見る 今日は何かの祭日なるべしと思うのみなり
楽器
ローソップ島民は 何等固有なる楽器を有せず 島内唯一の蓄音器(安物ポータブル
(引用)
故秋吉利雄氏保存資料
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