2024/09/13 18:22、クック10cm屈折望遠鏡で撮影した月齢10.2の月です。薄明中でしたが、スッキリとした画像です。
中村要氏は、京大天文台に納入されたクック30cm屈折望遠鏡の光学部分品を検査した結果を残しています。10cm望遠鏡については、
「ファインダーには10cm(4インチ)の望遠鏡がついて居る。此のファインダーは決して単なるファインダーでなく独立した望遠鏡である。クック会社の4インチ望遠鏡を其のままファインダーとしたもので倍率は40である。自分は最初は餘り良いものでもなかろうと思いながら、自有の6インチ平面を使ってAutocolimationの検査を行った。小刀が一旦通過するや完全なものが知れた。僅か端の近くが凹の傾向があったが殆んど平面に見え、筆者の知って居る最も完全な対物レンズの一である事が知れた。硝子材は完全である。星像試験によると30cmよりも像の焦点内外像が良好であって、焦点内外像は対称的で焦点外像内に見事な干渉圏が見える(完全な対物レンズのみに於て、焦点外に紫色の明瞭な干渉圏が見える。反射鏡では焦点内に完全な干渉圏が出れば良好なもので屈折とは反対になる。)焦点に於ける星像等何れの点から見ても一流のA1のものである。
2個(*30cmと10cm)の対物レンズの完全な事は製造者たるクック会社の非常なる技術を確かめると同時に今後の望遠鏡の活動能力に対する有力なる原動力である。完全な対物レンズは或程度以上、製造者も金銭をもって作る事も求める事が出来ず或る程度以上偶然の機会を求めねばならぬが此の偶然に見事に出会ったと喜ばねばならぬ。クック会社の対物レンズの良好な事はしばしば聞いたが此れは充分に証明せられた。
Autocolimation試験は1895年頃クック会社で発見され、近年まで秘密にされて居た。又此の試験法は星像で見るよりも2倍厳密であり、対物レンズの最良の検査法として知られ、此の方法が製造に使われたものと考えることが出来る。」引用 中村要,京大天文臺30センチ望遠鏡の光學部分品,天文同好会,天界8(84):139~141
凪の時刻だったようで、シーイングは良好でした。虹の入江の西側(左)の外縁部分が日の出を迎えています。クック25cm屈折望遠鏡による拡大写真です。
コペルニクスクレーター内部が明るく輝いています。光条の広がりが見事です。
(共通データ:コーワTE-11WZ接眼レンズ、iPhone7コリメート撮影)
(参考文献)
星空年鑑2024,大熊正美,株式会社アストロアーツ,2024
月の地形観察ガイド,白尾元理,誠文堂新光社,2018
3コメント
2024.09.20 08:28
2024.09.19 22:35
2024.09.16 23:09