2020.03.20 09:26「天界」No.140(故中村要氏追悼号)その2 東亜天文協会・天文同好会発行「天界」1932年(昭和7)12月号(故中村要氏追悼号)を、ゆっくり読み返しました。投稿された追悼文を読み進む内に、中村要氏の業績や人柄がより一層分かるようになりました。特に、身近で生活を共にした方々の文章は胸に迫ります。中村要氏の天才性、日本の天文学界に残した業績の大きさが、より一層感じ取れました。 今回は、以前このブログでご紹介した、「憧れの花山を訪う」の北村重雄氏です。「憧れの花山を訪う」が「天界」に掲載されたのは、1932年(昭和7)9月号でした。「天界」9月号で、喜びを爆発させた北村氏でしたが、そのわずか3カ月後に、今度は痛切な思いを吐露することになってしまいました。 「中村要先生と私」 ...
2019.03.09 06:40憧れの花山を訪う 「今日こそは、本会へ入会以来、憧れていた花山へ同好者諸兄と飛んでいく日である。前もって中村氏に参観について御依頼してその承諾も得てあった。また殊に僕にとっては、星を知ってより数年来の宿望であったところの、望遠鏡を手にすることのできる日だったので、前夜などは、なかなか嬉しさのあまり、よく眠れなかったくらいである。 午前11時天満橋集合、一行6人の燃ゆる思いを乗せて、電車はひた走りに走る。各々携えた材料を中に、車中ひとしきり天文談が賑わう。いつの間にか三条着、京津電車に乗り換え蹴上(けあげ)で下車、伊達兄の先導で一路花山山頂へ。 東海道筋を約5町(500~600m)東行、電車線路を踏み切ると、いよいよ花山道路に入る。道は歩一歩、下界を離れ、迂邉曲折、静寂...