2021.07.24 09:071940年(昭和15)の月スケッチ 1940年(昭和15)は火星接近の前年であり、月(アリスタルコス付近)のスケッチと観測についてのハガキが1葉残っているのみです。アリスタルコスクレーター付近は、特異現象が起こる場所として注目されていました。スケッチ者のサインは、A.Kanayama氏?(六甲在住)
2021.06.05 08:301939年(昭和14)の火星スケッチ(2) 上のハガキは、山本一清氏から伊達英太郎氏に送られたものです。日付は、1938年(昭和13)10月27日です。東亞天文協会遊星面課課長に任命する旨が書かれています。恐らく、次年度を待たず、すぐに木辺氏から伊達氏に課長が変わったのでしょう。 ところで、今回ご紹介するのは、樋上敏一氏(1921~?)による火星スケッチです。樋上氏は、当時京都一中(1870年に創立した日本最古の旧制中学校。現京都府立洛北高等学校・附属中学校)の学生でした。花山天文台の柴田淑次氏の指導を受け、1年生の頃より太陽黒点の観測に精進したそうです。後年、彗星の軌道計算に精通され、本田彗星の発見報告にも尽力されました。ホンダ・ベルナスコニ彗星を、1948年6月6日朝独立発見しましたが、観...
2019.03.03 06:57LTP(月の異常現象) 月の異常現象は、1540年から報告されています。これはLTP(Lunar Transient Phenomena)と言われ、アメリカのミドルハーストが、1967年までの約540件をカタログにまとめているます。定義は、位相(満ち欠け)には関係のない月面上の狭い地域で起こる一時的な変化です。変化の種類としては、クレーター内部や、そのほかの狭い地域での一時的な輝点やかすみ・ぼけなどがあります。 カタログのLTP上位の地域は、アリスタルコス周辺、プラトー、アルフォンスス、アグリッパ、ガッセンディ、ティコ、プロクラス、シュレーター谷等。しかし、LTPの大部分は、望遠鏡の色収差や月が低高度にある場合の大気差による着色等が原因と言われています。しかし別の文献によれ...
2018.12.24 08:54樋上 敏一氏 1939年(昭和14)の火星大接近は、最接近が7月28日(衝は7月23日)、距離5799万Km、視直径24.1秒でした。いわゆる大接近の中では、やや条件が悪いものでした。火星の赤緯も-26°あまりと、南天低いやぎ座の中にあったので、シーイングの点でも不利でした。 火星観測のベテランの前田静雄氏や渡邊(後の佐伯)恒夫氏が出征中で不在でしたが、若手を含め27名の観測者が共同観測を行い、合計342枚のスケッチを残しています。その中に、今回ご紹介する樋上敏一氏がいました。樋上氏は、1939年の時点で、京都府立京都第一中学(現、京都府立洛北高等学校)の学生でした。 スケッチ用紙は、東亜天文協会の様式に則っていますが、用紙の裏面の記入方等は京都第一中学オリジナル...