1935年(昭和10)の金星スケッチ(2)

 今回は、小沢喜一氏(こざわきいち,1918-1949)の金星スケッチをご紹介します。小沢氏は、名古屋出身のSSCyg型変光星の熱心な観測者でした。1936年(昭和11)春に15cm木辺鏡、1938年(昭和13)6月に25.6cm木辺鏡を入手、自宅の屋根にドームを作りSSCyg型星の観測に精進しました。

 小沢氏が活動した時期は戦時中でしたので、小沢氏の全ての記録資料も戦災により消失してしまったそうです。ただ一つ焼け残った25.6cm反射により、1947年(昭和22)秋に病臥するまで観測は続行されました。1949年(昭和24)4月23日逝去、享年31歳でした。

 ここにご紹介する写真やスケッチは、戦災を免れた、小沢喜一氏の唯一の記録かもしれません。

 小沢喜一氏の観測所は、ドームではなく、スライディングルーフ式だったことが分かります。

 水星の太陽面通過は、1940年(昭和15)11月11日午前7:30~10:52にあった現象でした。

参考文献:日本アマチュア天文史,日本アマチュア天文史編纂会,恒星社厚生閣,1987,P192-193

(写真は全て伊達英太郎氏天文写真帖より、資料は全て伊達英太郎氏保管)

中村鏡とクック25cm望遠鏡

2016年3月、1943年製の15cm反射望遠鏡を購入しました。ミラーの裏面には、「Kaname Nakamura maker」のサインがありました。この日が、日本の反射鏡研磨の名人との出会いの日となりました。GFRP反射鏡筒として現代に蘇った夭折の天才の姿を、天体写真等でご紹介します。また、同時代に生きたキラ星のような天文家達を、同時期に製造されたクック25cm望遠鏡の話題と共にお送りします。

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