1941年(昭和16)の月・惑星写真(8)

 1941年(昭和16)10月12日に撮影された月(月齢20)です。乾板A17,18、撮影時刻は、0:33~35、クオリティーはA18が良です。乾板には、A.I(Fuji)の記述が見られます。フィルターは不使用、31cmカセ・ニュートン直焦点です。

 この乾板にも、奥様の村子氏の名前が見られます。

 A17は露光不足のため、carbonを入れて現像したと記されています。

 露光不足とのことですが、少し画像調整をすると、とても見やすくなります。

 左下の大きなクレーターがコペルニクス、その右の小さなクレーターがエラトステネスです。エラトステネスから右に弧を描いているのがアペニン山脈。写真中央は雨の海、上部に虹の入江、虹の入江の右側に底面の暗いプラトーが見えます。

 焦点距離2400mmの直焦点撮影では、月の直径の1/3ぐらいの範囲が画角に収まっています。

 木辺氏がクオリテューは良と記入していた写真です。クレーターのエッジがキリッとして、鏡面の精度の高さがよく分かります。

 左下の光条を伴った明るいクレーターはティコです。ティコの上の暗い部分は雲の海です。

(参考文献)

月の地形観察ガイド,白尾元理,誠文堂新光社,2018

(写真乾板は伊達英太郎氏保管)

中村鏡とクック25cm望遠鏡

2016年3月、1943年製の15cm反射望遠鏡を購入しました。ミラーの裏面には、「Kaname Nakamura maker」のサインがありました。この日が、日本の反射鏡研磨の名人との出会いの日となりました。GFRP反射鏡筒として現代に蘇った夭折の天才の姿を、天体写真等でご紹介します。また、同時代に生きたキラ星のような天文家達を、同時期に製造されたクック25cm望遠鏡の話題と共にお送りします。

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