寒波とスノームーン

 2022.2.16、寒い寒い日になりました。仕事帰りに駅を降りると、凍えそうな夕焼けが広がっていました。

 この日の月齢は15.1、それでも満月ではありません。雲間の月が、妖しく光を放っていました。

 秤動で月の南部(下)がよく見えています。

 2022.2.17、月齢16.1の満月(スノームーン)です。すでに月の南東方向が欠け始めています。

 2022.1.18、月齢17.3の月です。月齢17前後の月は、月面の東端をじっくり見ることができます。危機の海の南の巨大クレーター群が見事です。その近くに、「アサダ」「ナオノブ」の日本人の名前の付いた小クレーターがあります。

 「アサダ」は、かつては「タウンティウスA」と呼ばれていました。江戸時代の医師で天文学者の麻田剛立(あさだごうりゅう 1734-1799)に因みます。麻田剛立は、大坂で日本最初の天文塾を開き、学んだ弟子の中には高橋至時(たかはしよしとき、 伊能忠敬の師)などがいます。日食や月食も観測・予報し、自作の反射望遠鏡で月のクレーターを観測した最初の日本人です。

 「ナオノブ」はかつては「クラビウスB」と呼ばれていました。江戸時代の和算学者安島直円(あじまなおのぶ 1732-1798)に因んでいます。安島直円は、日食や月食の計算法を編み出したほか、暦法の改良にも貢献しました。

 「アサダ」と「ナオノブ」は、いずれも1976年にIAUに公認されました。月全体では、日本人の名の付いたクレーターは13個あるそうです。

(参考文献)

月の地形観察ガイド,白尾元理,誠文堂新光社,2018

星空年鑑2022,アストロアーツ,株式会社KADOKAWA

中村鏡とクック25cm望遠鏡

2016年3月、1943年製の15cm反射望遠鏡を購入しました。ミラーの裏面には、「Kaname Nakamura maker」のサインがありました。この日が、日本の反射鏡研磨の名人との出会いの日となりました。GFRP反射鏡筒として現代に蘇った夭折の天才の姿を、天体写真等でご紹介します。また、同時代に生きたキラ星のような天文家達を、同時期に製造されたクック25cm望遠鏡の話題と共にお送りします。

2コメント

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  • double_cluster

    2022.02.20 12:04

    ありがとうござます。星の手帖1986年夏号に、村山定男氏の「伊達英太郎先生のこと」という文章を見つけました。村山定男氏にとっての最大の師が伊達英太郎氏だったようです。伊達氏の似顔絵や晩年の写真等の資料と共に、その文章をご紹介したいと思っています。
  • manami.sh

    2022.02.20 11:26

    ありがとうございました。 伊達様の残してくれた記録の貴重さがよくわかります。 伊達様の資料のから、草場氏についての更なる発見があるのではないでしょうか。 お手数をおかけしますが、引き続きよろしくお願いします。