青ヤケ白ヤケ

 ニコン8cm屈折望遠鏡を入手しました。1970年代を代表する、憧れの望遠鏡でした。製造後50年以上経ちますが、その優美な姿は健在です。

 しかしこの望遠鏡、レンズがこんな状態なんです。

 長い間湿度の高い木箱に入れられていたため、レンズの合わせ面に青ヤケや白ヤケができています。これは、ガラスの可溶成分と水との化学反応のため、素人には除去できません。

 上が前玉、下が後ろ玉、ヤケの発生はいずれも合わせ面です。

 セルに収めたところです。しかし・・・

 真っ直ぐ見ると、白ヤケによるモヤは見えますが、青ヤケによる影響は感じられません。

 2023/1/11 14:27に撮影(iPhone7を接眼レンズに押し付けて)した金星です。ヤケによる影響は感じられませんでした。

 

HOYAグループ オプティクス事業部|化学的性質|

レンズの加工工程中や保存中に生じる、白ヤケ、青ヤケ、潜傷などの表面劣化は、ガラスの化学的耐久性が乏しい場合に、ガラス成分と、水あるいは洗剤成分が化学反応を起こすために発生します。 ●白ヤケ ガラス表面に水滴が付着したり、温度、湿度の急激な変化によって空気中の水分が、ガラス表面に露結した場合に、ガラス中の可溶性成分と水が反応し、ガラス表面が侵食されて荒らされたり、水の蒸発後の溶出成分や溶出成分と空気中のガス(たとえばCO2)との反応生成物が析出して、表面が白く曇って見えることがあります。この現象が白ヤケです。 図2白ヤケ発生の難易度は、粉末法耐水性*(DW)により評価できます。 ●青ヤケ 研磨された光学ガラスの表面が水分、酸などによって侵されて表面に干渉色の反射光が見えるようになることがあります。この現象が青ヤケです。 ガラスが水や酸と接触すると、化学反応(ガラス中の陽イオンと水中のヒドロニウムイオンとのイオン交換反応)を起こし、表面に母体ガラスよりも屈折率の低い薄層が生じて、干渉色を呈するようになるからです。 図3青ヤケ発生の難易度は、粉末法耐酸性*(DA)や表面法耐青ヤケ値(TBlue)により評価できます。 ●潜傷 研磨工程でガラス表面に生じた微少傷が、洗浄工程で、特に洗剤溶液中に含まれている無機ビルダ-によって表面が侵食を受け、肉眼でも見える程度にまで成長することがあります。この現象が潜傷です。 図4無機ビルダ-溶液中での侵食には,Na2CO3などのビルダ-が加水分解して水酸イオンを生じ、これがガラスを侵食する場合と、重合リン酸塩ビルダ-のように加水分解した重合リン酸イオンがガラスを侵食する場合があります。前者における侵食のし易さは耐潜傷性(DNaOH)により、後者における侵食のし易さは耐潜傷性(DSTPP)により評価できます。比重に相当する質量の粉末ガラス(粒度425~600μm)を白金かごに入れ、それを純水(pH=6.5~7.5)80mlの入った石英ガラス製丸底フラスコ内に浸漬し、沸騰水浴中で60分間処理し、その減量率(%)によって表5の級に分類してあります。 表5 粉末法耐水性(DW)の級 DWの測定方法と同様に、フラスコ内に0.01mol / l硝酸水溶液を

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中村鏡とクック25cm望遠鏡

2016年3月、1943年製の15cm反射望遠鏡を購入しました。ミラーの裏面には、「Kaname Nakamura maker」のサインがありました。この日が、日本の反射鏡研磨の名人との出会いの日となりました。GFRP反射鏡筒として現代に蘇った夭折の天才の姿を、天体写真等でご紹介します。また、同時代に生きたキラ星のような天文家達を、同時期に製造されたクック25cm望遠鏡の話題と共にお送りします。

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