西村製作所の創業

 京都にある望遠鏡製造メーカー、西村製作所の創業は、1926年(大正15)です。西村製作所は、京都帝国大学近くで操業していた、理化学機器製造工場でした。その工場に中村要氏が自ら研磨した鏡を持ち込み、鏡筒と架台の製作を依頼したのが、望遠鏡製造メーカーとしての始まりです。中村要氏22歳、西村新一郎氏20歳、西村繁次郎氏17歳の時でした。独特なネコ脚の三脚や経緯台の設計も、中村要氏によるものです。組み立てが完了した望遠鏡は、京都帝国大学宇宙物理学教室屋上に運ばれ、中村要氏が最終チェックを行い出荷されました。屋上で撮影された反射望遠鏡の写真も、中村要氏によるものです。中村要氏は、望遠鏡製造メーカー西村製作所の創業に大きく関わった存在でした。(1930年発行の西村製作所のカタログには、「京都帝国大学花山天文台中村要氏指導」の一文があります。)

 1枚目:100mm反射経緯台接眼鏡2個付きで160円(現在に換算すると約80万円)

 2枚目:75mm卓上型反射経緯台接眼鏡1個付きで55円(現在に換算すると約28万円)

 3枚目:80mm地上用反射経緯台接眼鏡2個付きで100円(現在に換算すると約50万円)

 4枚目:80mm高級地上用反射経緯台(左右の回転がウォームギア仕様、価格不明)

 5枚目:90mm反射手動赤道儀、度盛環無し接眼鏡2個付きで160円

 6枚目:90mm高級反射赤道儀、度盛環、ピラー、赤緯微動、接眼鏡2個付き、価格不明

 7枚目:200mm高級反射赤道儀、最優秀機、接眼鏡4個付きで900円(現在に換算すると約450万円)

(写真は伊達英太郎氏天文写真帖第2巻より)

中村鏡とクック25cm望遠鏡

2016年3月、1943年製の15cm反射望遠鏡を購入しました。ミラーの裏面には、「Kaname Nakamura maker」のサインがありました。この日が、日本の反射鏡研磨の名人との出会いの日となりました。GFRP反射鏡筒として現代に蘇った夭折の天才の姿を、天体写真等でご紹介します。また、同時代に生きたキラ星のような天文家達を、同時期に製造されたクック25cm望遠鏡の話題と共にお送りします。

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