松隈健彦氏(東北帝国大学)の小清水での観測報告(2)
今回の報告には、フレドリック・ストラットン氏(1881-1960,英国の天体物理学者)、中谷(なかや)宇吉郎氏(1900-1962,人工雪の製作)、木村栄(ひさし)氏(1870-1943,緯度変化のZ項の発見者)、*吉田正太郎氏(1912-2015,天文学者・光学設計者)の名が出てきます。
小清水では天候に恵まれ、松隈氏は太陽のミクロ重力レンズ効果(アインシュタイン効果)の撮影に成功しました。
(追記)
吉田正太郎氏の「光学機器大全」に、この日食に関する文章がありましたので引用します。
「1936年6月19日に北海道で皆既日食が見られました。この時、松隈健彦教授を隊長とする東北大学の観測隊は、網走に近い小清水で、口径20cm焦点距離5mのセミ・アポクロマート対物レンズを装備した水平カメラを使って、アインシュタイン効果を再確認しました。
このレンズは、東大の関口鯉吉教授(のち東京天文台長)が前年度に日本光学に発注したもので、私(吉田正太郎氏)は同社の石原四郎技師の説明を聞きながら、社内検査の段階から何回も立ち会って、その性能をよく知っていました。カメラ後部は小西六桜社(現コニカ)が製作して、乾板サイズは四切(ヨツギリ,254mm×305mm)でした。乾板は、オリエンタル1200という特注の整色乾板を使いました。」
*吉田正太郎氏(上の写真)は、晩年まで著作を続けました。「天文アマチュアのための新版屈折望遠鏡光学入門」「天文アマチュアのための新版反射望遠鏡光学入門」(誠文堂新光社,2005)は、吉田正太郎氏が93歳の時に出版されました。
(引用)
天文月報第30巻第8號,日本天文学会,1937.8
日本の天文学の百年,日本天文学会百年史編纂会委員会,恒星社厚生閣,2008
光学機器大全,吉田正太郎,誠文堂新光社,2000
(参考文献)
ストラットン,Wikipedia,2023/8/26閲覧
中谷宇吉郎,Wikipedia,2023/8/26閲覧
木村栄,Wikipedia,2023/8/26閲覧
吉田正太郎,Wikipedia,2023/8/26閲覧
0コメント