1941年中国大陸・台湾・石垣島皆既日食(30)

南洋ロタ島事情(7)東北帝大理学部観測計画(7月 水路部統一様式)、上海自然科学研究所東中氏手紙・皆既日食観測計画書(7/11)


 1941年(昭和16)7月、東北帝国大学から水路部に提出された、ロタ島皆既日食観測計画書です。

「昭和16年7月 東北帝国大学理学部班 ロタ島に於ける皆既日食観測計画

1.日食時日 昭和16年9月21日

2.観測場所 南洋群島 ロタ島上

3.観測母体 東北帝国大学理学部

4.観測員  

 東北帝国大学 助教授 加藤 愛雄

 同      講師  佐藤 隆夫

 同      助手  斉藤 良一

 同      学生  佐々木芳治

(合計 4名)

5.観測事項

イ.地磁気 地電流

ロ.日食時に於ける太陽 及全天輻射量

ハ.コロナの輻射及スペクトル

ニ.空中電気 及大気伝導率

ホ.一般気象

ヘ.岩石見本採取

ト.観測に関する写真撮影(海岸、高度撮影等を含まず)

備考 イ、ヘ、ト項は時日あらばサイパン島に於ても実施したし

6.観測器械類

 合計容積 約8立方メートル 重量 約 瓲(t) 個数15

 最大重量品 約50瓩(kg)1個

7.行動予定

 8月28日 横濱発(横濱丸)

 9月  2日 サイパン着 9月  4日頃 ロタ着

 9月下旬 ロタ発

 10月  3日 サイパン発(サイパン丸)

 10月  7日 横濱着

(但学生は9月24日サイパン発山城丸に依る)

8.其の他

「機密保持 一般事項の発表 観測成果の公表等に関しては 海軍の規定並に指示に従うものとす(終)」

 1941年(昭和16)7月11日、上海自然科学研究所 東中秀雄氏より、水路部 秋吉利雄海軍大佐に送られた、ロタ島日食観測に関する手紙と観測計画書です。

「拝啓 愈々(いよいよ)御清穆(ごせいぼく)の段 大賀に存奉候 扨早速ロタの件に就き御返答し下 誠に有難く存じ御礼申上候 実は6月上旬より出張しこの月初め帰海仕り御信を拝見 御便申上べきこと延引致失礼仕候 別紙に日食観測計画認めおき候居 宜しくお取計らいに下度 誠に恐縮に候えども 折り入って御願申上候 猶(なお)の事恐縮ながら 水路部型磁気儀 もしお差支えなくば 拝借致し度存居候も 如何に御座候や お序(つい)での節貴意を伺度候 尤(もっと)も別便を以て 桑原技師へもお願いする所存に御座候 敬白

(1)計画

1.日食時日 9月21日

2.場所 ロタ島

3.観測母体 上海自然科学研究所

右責任者 研究員東中秀雄

4.観測人員 観測者2名 助手2名

5.観測事項 日食地磁気変化及地電流

6.観測器械類 自記磁力計一揃及附属品

自記磁力計用掘立小屋、天幕2張

地電流測定用具、アスカニア磁気偏差1台 無線受信器等 合計 容積約1 t 個数約40個 内最大重量品約1/4 t 2個

7.行動日程 8月26日 器械人員現地着

      9月30日 現地引揚

(2)希望事項

1.長さ約1 m 径約80 mm 丸太棒の杭120本

現地にて得たし

2.バラス24籠(内12籠はバラスなき節はレンガにてもよし)砂12籠 セメント6袋 之も現地にて得たし 之は器械設置台用のものに就き その工事は請負師に頼みたし

昭和16年7月11日 上海自然科学研究所

東中秀雄 水路部秋吉大佐殿侍史」

(引用)

故秋吉利雄氏保存資料

中村鏡とクック25cm望遠鏡

2016年3月、1943年製の15cm反射望遠鏡を購入しました。ミラーの裏面には、「Kaname Nakamura maker」のサインがありました。この日が、日本の反射鏡研磨の名人との出会いの日となりました。GFRP反射鏡筒として現代に蘇った夭折の天才の姿を、天体写真等でご紹介します。また、同時代に生きたキラ星のような天文家達を、同時期に製造されたクック25cm望遠鏡の話題と共にお送りします。

0コメント

  • 1000 / 1000