南洋ロタ島事情(9)上海自然科学研究所 東中秀雄氏の手紙(7月14日)
上海自然科学研究所 東中秀雄氏から、水路部・秋吉利雄海軍大佐に宛てた手紙です。
「拝啓 毎々御配慮に与り 頗る有難く厚く御礼申し上げ候 7月14日 貴翰(きかん)に従い 左に連絡すべき事項申し述べ度く候
1.速水氏の話とある当方一行3名は誤りにつき 4名に訂正願い度く候 出発の便船は 8月26日横浜発の泰安丸に定めたく 目下神戸郵便船へ電報にて申込あり候も 未だ返事に接せず 猶(なお)一方 上海郵船旅客主任上野氏へ事情を話し 泰安丸4名分(等級に関わらず)申込あり候 何分この件については 貴下へ郵船より紹介あるものと思われ候も その節には何卒御便宜お計らい下され度く 切にお願い申し上げ候 器械設置の都合上 横浜丸では頗る難渋致すことと」
「思われ候に就き 無理この上なきこと乍ら よろしくお願い致し度き候 万万一如何ともなす術なき時は 横浜丸にするより他なく 御願い候に就き 御予約下され候 同船は泰安丸の件落着するまで 御保留願い上げ度く候
2.帰船は前述上海郵船上野氏へ 9月30日ロタ発サイパン丸へ4名申込あり候も この方も定かならざるに付き 貴下に御一任致し度く願い上げ候
3.セメントは持参致すべく候に就き バラス・砂利・杭等は お求め置き下され度く願い上げ候
4.水路部磁気儀は御都合も之有り候に就き 断念致すべく候
5.携帯品は7月31日上海出帆の新田丸にて」
「横浜へ送ることに定めあり候 横浜へは当方より1名参り 泰安丸に積み込むことと致し度き候(泰安丸に乗船出来ぬ節は横浜丸へ) 但しこの荷物は精密器械を除きしものに御座候
6.当方にて泰安丸に定まりし節は 打電致すべく 又 貴下に依て予約可能の節は 御迷惑乍ら 御一報を下され度く願い上げ候
7.新田丸の荷物に就いては 何れ貴下へご相談に1名さしむける所存に就き 小生も出来るだけ早く 御面接の機を願いたく存じ上げ候
取りあえず以上 要件のみ申し上げ候 敬白」
形式的な挨拶を最小限にして、内容を事細かく伝える文面に、東中氏の真剣さが表されているように思います。
(引用)
故秋吉利雄氏保存資料
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