3C273(クェーサー)

3C273,NGC4527,4536,4754,4762,M61,3190,2392,M67

 この写真を見て、「わー、すごい!」と思われる方は、いないのではないでしょうか。実は、この写真の中に約24億光年かなたの星?が写っているんです。

 種明かしの写真がこれ。おとめ座のクェーサー(quasar)3C273です。

 クェーサーは、最も明るい部類の活動銀河核(AGN)です。もともとは、恒星(点源)のように見える天体(quasi stellar object)という意味の英語から作られた造語です。日本語では、準星あるいは準恒星状天体と訳されることもあります。現在は、電波強度の大小に関わらず、可視で明るい活動銀河核はクェーサーと呼ばれています。

 1962年に、最初にクェーサーと同定されたのが3C273です。3C273は、1959年に出版された、ケンブリッジ電波源カタログ第3版の273番目(赤緯順)に掲載された天体という意味です。クェーサーの中心部には、1億太陽質量を超えるブラックホールがあると推定されています。

 クェーサー3C273を見るのが長年の夢でした。しかし、観望地にドブを持って行って、星図とにらめっこをして・・・・と考えると、無理かなと思っていたんです。それが、自宅で撮れるなんて。ちなみに、3C273は12.8等です。

 NGC4536(10.6等)と4527(10.5等)は、3C273の近くにある銀河です。3C273を見た後は、10.5等や10.6等は明るく感じます。

 おとめ座にある、明るいエッジオンの紡錘状銀河(真横から見た形が糸を紡ぐ時の心棒に似ている銀河)NGC4762(10.3等)と、SB型(ハッブル分類)のフェイスオン銀河(地球に対してほぼ正面を向けた銀河)NGC4754(10.6等)です。

 おとめ座の銀河M61(9.7等)です。15分の露光により、腕の部分の様子がよく分かります。

 M61をトリミングして拡大しました。

 しし座のγ星とζ星の中間にある銀河です。NGC3193(10.9等)、NGC3190(11.2等)、NGC3185(12.2等)、NGC3187(13.4等)です。うっすらとですが、13.4等のNGC3187も見えています。ちなみに、NGC(New General Catalogue)は、1888年にデンマークの天文学者ドレイヤーがGC(General Catalogue)を増補改訂した天体カタログです。

 ふたご座のδ星の東南東約2°にある、惑星状星雲NGC2392です。

 M67(6.9等)は、かに座α星の西約2°にある散開星団です。個々の星がキラキラ輝き、半円形を描いています。王冠のように見えますね。

(参考文献)

星雲星団ウォッチング,浅田英夫,地人書簡,1996

(続)星空ハイキング,市川利光,コプティック星座館,2000

天文学辞典,岡村定矩代表編者,日本評論社,2012

中村鏡とクック25cm望遠鏡

2016年3月、1943年製の15cm反射望遠鏡を購入しました。ミラーの裏面には、「Kaname Nakamura maker」のサインがありました。この日が、日本の反射鏡研磨の名人との出会いの日となりました。GFRP反射鏡筒として現代に蘇った夭折の天才の姿を、天体写真等でご紹介します。また、同時代に生きたキラ星のような天文家達を、同時期に製造されたクック25cm望遠鏡の話題と共にお送りします。

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