M13 ヘルクレス座球状星団

M13,M99,M98,M88,M89,M90,NGC4473,NGC4447

 夜空は、春から夏に移ってきています。

 M13(NGC6205)は、全天で最も美しいといわれている球状星団(5.8等、2万3400光年)です。ヘルクレス座ζ星とη星の間に位置しています。私は、星がよく見える所で、Ninja-320(ドブソニアン望遠鏡)を使ってM13を見ることが好きでした。球状星団を見たいから、Ninja-320を持っていました。しかし・・・。Seestarは、14分露出でM13をここまで写しました。

 M13の中心部から星が腕のように並んで伸びているのが分かります。それをジョン・ハーシェルは「毛が生えたような曲線の枝が出ている」、ロス卿は「ふさ飾りのような腕・・・まわりの空間に向けて枝分かれしている」といっています。

 

 M99(NGC4254)は、かみのけ座6番星の南東約1°に位置するSc型銀河(9.9等、5500万光年)です。下側から出ている1本の腕は太く明瞭、上側から出ている2本の腕は、ややぼやけて見えます。また、腕がところどころ千切れているのが分かります。

 M98(NGC4192)は、かみのけ座6番星の西約40'に位置するSb型銀河(10.1等、5500万光年)です。細長い形状が特徴です。

 M98は、おとめ座銀河団の他の銀河とは違い、228km/sで天の川銀河に近付いています。

 銀河核から上に伸びたS字型の暗黒帯が見えます。また銀河の下側部分は、明るく輝いたところで銀河の広がりが急に終わっています。

 M88(NGC4501)は、かみのけ座6番星と29番星の中間に位置するSb型銀河(9.6等、5500万光年)です。エッジオン(横向き)の状態から30°傾いています。銀河核の右側に、淡い大きな腕が見えます。

 M90(NGC4569)はSc型銀河(9.5等、5500万光年)です。M89(NGC4552、9.7等、5500万光年、E0型銀河)の北約0.6°に位置します。

 おとめ座銀河団には、250ぐらいの大きな銀河と1000個以上のより小さな銀河があります。この銀河団の特徴は、渦巻き銀河が少ないことです。

 M90の直径は15万光年、太陽質量の800億倍の質量をもちます。M90は、おとめ座銀河団の中で最も大きな渦巻銀河のひとつです。M89はタイプE0型なので、ほぼ円形の楕円銀河になります。

 おとめ座銀河団のマルカリアンの鎖です。おとめ座銀河団の一部を構成する銀河の線状の集団を、マルカリアンの鎖(マルカリアン・チェーン)といいます。1960年代に、この集団の共通する固有運動を発見したアルメニア(旧ソ連)・ビュラカン天文台の天文学者であるB・E・マルカリアンに因んで命名されました。

(参考文献)

星雲星団ウォッチング,浅田英夫,地人書簡,1996

メシエ天体カタログ,ステファン・ジェームス・オメーラ著 磯部琇三訳,NewtonPress,2000

マルカリアンの鎖,Wikipedia,2024/4/13閲覧


中村鏡とクック25cm望遠鏡

2016年3月、1943年製の15cm反射望遠鏡を購入しました。ミラーの裏面には、「Kaname Nakamura maker」のサインがありました。この日が、日本の反射鏡研磨の名人との出会いの日となりました。GFRP反射鏡筒として現代に蘇った夭折の天才の姿を、天体写真等でご紹介します。また、同時代に生きたキラ星のような天文家達を、同時期に製造されたクック25cm望遠鏡の話題と共にお送りします。

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