伊達英太郎氏の太陽観測(10)

標準原板

 伊達英太郎氏は、「小反射望遠鏡による太陽写真」の中で、標準原板について「太陽写真に於いては露出は可及的正確なる事を要し、露出過度だと米粒組織のディテールは潰れるし、また不足だと全然ディテールは現れない。太陽は肉眼で見ても中央部が最も光輝強く周辺になるにつれ、段々光輝が淡くなり、周縁では白斑が美しく淳出して見える程暗くなっている。写真でもこういう風に中央部が最もよく感光し、周辺部に及ぶにつれて濃度が減じ、周縁では白斑が黒く感光して浮き出して見え、黒点はアンブラ(暗部)は殆んど感光せず、ペナンプラ(半暗部)が所謂ハーフトーンとなっておれば大体正しい露出で、こういう原板を透かして見ると、中央部は米粒組織が美しく写っている。」と述べています。

 1940年(昭和15)8月に撮影された太陽黒点写真は、撮影技術の高さが際立った乾板が数多く見られます。

中村鏡とクック25cm望遠鏡

2016年3月、1943年製の15cm反射望遠鏡を購入しました。ミラーの裏面には、「Kaname Nakamura maker」のサインがありました。この日が、日本の反射鏡研磨の名人との出会いの日となりました。GFRP反射鏡筒として現代に蘇った夭折の天才の姿を、天体写真等でご紹介します。また、同時代に生きたキラ星のような天文家達を、同時期に製造されたクック25cm望遠鏡の話題と共にお送りします。

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