ローソップ島皆既日食(46)

ローソップ島状記(14)

(14)　娯楽

各年輩を通じて　娯楽と言うべきものなく　遊戯としては　小供が時々ジャンケン　鬼ごっこ　隠れん坊　ジャケン飛をなす　何れも内地同様なり　外にシガポツトと称する　陣取り式の将棋に類するものあり　其の他のアバイ（ローソップ島はカノー庫を使用す）に集合し談笑す　ローソップのウォートウ所謂アバイモ　勿論女子禁制なり　又　競技に類するものに　棒を3,4間の距離より　盛土（カタキモノ）に投付け　空間に飛上らしめ　墜落せる場所と　盛土との間の距離の長短により　優劣を競うものなり

貨幣

ローソップ島は　独逸領となる迄は　全部物々交換に依り　取引をなしいたり　現在も尚　マルク取引を長年の習慣の為め　貨幣をマークと呼ぶものあり

職業

ローソップ島民中　商業を営める者は1名にして　日本商人（トラック島）より　煙草　ビスケット　コンビーフ等を現金にて買入れ　金銭支払により島民に売却す　但し店舗を構えず　島民中にて他商品を買う場合は　直接トラックを赴くを常とす　島民中に船大工5名あり　カノー造船をなす　カノーは島が共同出資をなして作る　1人乗10◯　5人乗50◯の割合　他に普通の大工あるも　人数不詳なり　其の他雑役人夫として　徴傭し得る者の数は　約10名なり　（終）

（引用）

故秋吉利雄氏保存資料