2つの20cm屈折望遠鏡(1)

 2024年7月28日、東京・上野の国立科学博物館に行ってきました。目的は、トロートン20cm屈折望遠鏡を見るためでした。

 望遠鏡としては、とても簡素な造りをしています。ただし、極軸の後端にある、目盛環部分の精巧さには驚きました。

 赤経軸(左)と赤緯軸(右)の接合部分です。

 上の写真とダブりますが、ピラー上部の構造がよく分かります。

 ウェイトとピラーです。望遠鏡全体は真鍮色の塗装をしているそうです。

 極軸上部の錘部分の拡大です。極軸上部は木が使われていることを、国立科学博物館の中島隆氏が教えて下さいました。

 ウェイトは1個。ウェイト軸も短く、鏡筒に付属品を付ける余裕はなさそうです。

 赤経軸下部から、鏡筒を見上げた様子です。 

 日本の天文学の黎明期に活躍したトロートン望遠鏡。重厚な風貌が心に残りました。

 海洋堂製作の「トロートン20cm望遠鏡」です。

中村鏡とクック25cm望遠鏡

2016年3月、1943年製の15cm反射望遠鏡を購入しました。ミラーの裏面には、「Kaname Nakamura maker」のサインがありました。この日が、日本の反射鏡研磨の名人との出会いの日となりました。GFRP反射鏡筒として現代に蘇った夭折の天才の姿を、天体写真等でご紹介します。また、同時代に生きたキラ星のような天文家達を、同時期に製造されたクック25cm望遠鏡の話題と共にお送りします。

2コメント

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  • double_cluster

    2024.07.30 00:01

    @manami.shmanami.sh様 暑中お見舞い申し上げます。貴重なコメント、いつも感謝しています。いやー、東京の暑さは凄まじいものでした。(全国どこでも?)ご興味をもってご覧いただいていますので、写真を追加いたしました。極軸の上部を覆うのに、木が使われていたとは・・・。驚きでした。海洋堂のガチャガチャのトロートンを毎日見ていますので、なんとも言えない親しみを感じました。
  • manami.sh

    2024.07.29 12:08

    ローソップ連投でしたねぇ。 トロートンについては、「明治初年に岩倉使節団がロンドンを訪れた折に注文してきたといわ れており.....本邦に輸入された最初の本格的かつ最大の天体望遠鏡で....」と村山定男氏が 書かれておられます。 (「科学技術文化遺産の保存・活用について」『文化庁月報』1997.7) ここで岩倉使節団が出てくるとは、少々、驚きでした。 更に両20センチについて、「(トロートン20センチは)わが国の産業がまだ極めて未熟であった 時代に輸入されたもので、科学史的に重要な記念品であるが、当時はまだそれを模倣製作しよう という機運が全くなかった。」と記しておられます。 これからご紹介いただける日本光学工業製の20センチについては、続けて 「それが昭和初期になると舶来の一流品をコピーして性能的に遜色ないものが製造できる ようになったのである。この日本光学製二〇センチ望遠鏡は国産最初の本格的天体望遠鏡であり、 工業技術史的にもあるいは産業考古学的にも極めて重要な記念品だと思う.....」と記しておら れます。 私自身は、まだどちらも実際に見たことはありませんので、赤道儀の写真等掲載していただいて とても興味深く拝見しました。やはり興味がある部分を写真でみせていただけるのは、とてもう れしいです。 クックともども、いつか見てみたいものです。