ビクセンSP-DX赤道儀

 GFRP15cm反射鏡筒を経緯台で使用した際、接眼部と経緯台との距離が離れ、微動つまみの操作をしにくことが分かりました。特に水平微動つまみは、目を接眼部から離さなければ操作ができないほどでした。

 GFRP15cm反射鏡筒は、月や惑星を見るために、高倍率を使うことが多いです。そこで、赤道儀(高倍率を使っても視野から対象が逃げない!)を思い切って購入することにしました。候補としては、ビクセンGPD2赤道儀、GPD赤道儀、SP-DX赤道儀を考えました。いずれも現在は新品としては購入できません。耐荷重量(赤道儀に載せることができる最大重量)は、いずれも10Kgです。以前から、ビクセンSP-DX赤道儀は性能が良いと聞いていました。そこで、いろいろ手を加える必要はありますが、候補の中では一番古いSP-DX赤道儀(1枚目の写真)を、オークションで入手しました。おそらく、製造後30年は経っているはずです。

 そのまま使用するのが一番手っ取り早いのですが、機械内部のグリスの劣化も気になるので、分解、清掃、グリスの入れ替えをしました。分解(2枚目写真)して、部品のクオリティーの高さがよく分かりました。3枚目の写真にあるウォームホイールは、左が極軸用(外径73mm、内径60mm、高さ52mm、重量550g。)、右が赤緯軸用(外径、内径は極軸用と同じ、高さは45mm、重量は470g。)で、いずれも真鍮製です。極軸(4枚目写真、天の北極に向ける部分)は鉄製で、太さが45mm、重量は2400gもあります。赤緯軸(5枚目写真)も鉄製で、太さは35mm、重量は760gです。グリスを塗ってから組み立てるのですが、誤ってグリスなしで部品をはめると、工作精度が高いので抜けなくなる恐れがあります。グリスは、信越化学のシリコングリス(G-30M)を使用しました。

 組み立てをする際に注意が必要な点は3つあります。

1.極軸のはめ込み

 極軸と軸受部分の隙間はほとんどありません、極軸と軸受部分にグリスを塗ってはめ込むのですが、すんなりとはいきません。数時間の悪戦苦闘の末、やっとはめることができました。コツは、極軸を立てて、軸受を少しずつカタカタという音を確認しながら入れることです。嫌気がさして、グッと力任せにすると、取り返しがつかなくなります。😵

2.極軸や赤緯軸の端を止める固定ネジ(カニ目仕様)

 ネット情報にもありますが、この部分は横に抜け防止のイモネジがあります。これを緩めずに回そうとすると、固定ネジを傷めてしまいます。それに、ネジが噛んで回らなくなります。材質が柔らかいアルミ製なので、くれぐれも固定ネジを緩め忘れないことです。(つい忘れて失敗しました😓)

3.プラスチックワッシャ

 部品の回転部分にプラスチックワッシャが入っています。どこに入っていたかを記録していないと、入れ忘れ、再組み立てとなってしまいます。(これはつらい😭)どこにどのプラスチックワッシャが入っていたかを、写真に撮っておいた方が安全だと思います。

 分解や再組み立ては、なかなかたいへんな作業でした。しかし、赤道儀の構造や調整方法を学ぶ機会にもなりました。

 ビクセンSP-DX赤道儀は、外観はパッとしませんが、やはり採算を度外視した高級な作りの赤道儀でした。(これから調整をがんばります。😃)


中村鏡とクック25cm望遠鏡

2016年3月、1943年製の15cm反射望遠鏡を購入しました。ミラーの裏面には、「Kaname Nakamura maker」のサインがありました。この日が、日本の反射鏡研磨の名人との出会いの日となりました。GFRP反射鏡筒として現代に蘇った夭折の天才の姿を、天体写真等でご紹介します。また、同時代に生きたキラ星のような天文家達を、同時期に製造されたクック25cm望遠鏡の話題と共にお送りします。

0コメント

  • 1000 / 1000