1935年(昭和10)の金星スケッチ(1)

 東亞天文協会遊星面課が発足(1933年)して暫くは、金星・木星・土星の惑星面スケッチも行われました。今回は、渡辺(後の佐伯)恒夫氏の金星スケッチです。

 金星表面の模様は極めて淡くデリケートです。その困難な対象を根気よく描写した渡辺恒夫氏は、とても鋭眼であったことが分かります。

参考文献:日本アマチュア天文史,日本アマチュア天文史編纂会,恒星社厚生閣,1987

(資料は全て伊達英太郎氏保管)

中村鏡とクック25cm望遠鏡

2016年3月、1943年製の15cm反射望遠鏡を購入しました。ミラーの裏面には、「Kaname Nakamura maker」のサインがありました。この日が、日本の反射鏡研磨の名人との出会いの日となりました。GFRP反射鏡筒として現代に蘇った夭折の天才の姿を、天体写真等でご紹介します。また、同時代に生きたキラ星のような天文家達を、同時期に製造されたクック25cm望遠鏡の話題と共にお送りします。

2コメント

  • 1000 / 1000

  • double_cluster

    2021.04.25 01:57

    コメントをいただき、ありがとうございます。伊達氏の元に残っていたスケッチを私が見ていても、1939年、1941年と年を追うごとに、スケッチの質が向上していることを感じます。特に、佐伯恒夫氏、樋上敏一氏に顕著です。今後、1935年の金星・木星・土星スケッチと続きますので、楽しみになさって下さい。ハーシェルニュートン情報も、ありがとうございました。
  • manami.sh

    2021.04.24 12:27

    佐伯恒夫氏の金星スケッチは、月惑星研究会編「惑星ガイドブック1」や東亜天文学会編「天体観測データブック」で20cm反射での観測は見ましたが、初期の8cm反射での観測ははじめて見ました。 貴重なものを見せていただきありがとうございます。佐伯氏は、月面や金星観測で貴重な観測を残していますが、どうしても第一は火星観測なんでしょうね。 ところで、木辺氏は「最近の日本に於ける遊星面観測の動向」(天文読書会『天文』1938)の中で1933年夏の土星白斑現象を契機として、日本においての共同的な観測が行われ、惑星観測団体ができた旨を述べています。先の後編にあたる「最近の日本に於ける火星面観測」(同上)で、1935年の火星観測について、その観測成果は観測メンバーの経験不足等で観測数はあったものの内容は乏しかった、しかし共同観測を遂行できたことは大きな成果であった旨を述べています。1937年の火星観測では、観測成果の質が向上した旨も述べております。以降の日本の火星観測における数々の観測成果の原点(1935年)の片鱗を見せていただき、非常に感慨深いです。 ハーシェルニュートンについては、現物を見たことがないので、何ともいえませんが、非常に興味を持っています。今となっては、当時の現物を手にするのは、厳しいかも。 次回も楽しみにしております。