1941年(昭和16)の火星スケッチ(6)

 今回は、前田静雄氏(1914-1952)の火星スケッチをご紹介します。 

 前田氏は、1936年(昭和11)に、木辺氏の個人秘書をしました。また、1940年(昭和15)には、木辺氏の代役として小糸製作所で反射鏡研磨も行いました。

 このスケッチは、前田氏自作の鏡面に、508倍という高倍率をかけて得られたものです。

(参考文献)

日本アマチュア天文史,日本アマチュア天文史編纂会,恒星社厚生閣,1987

(写真・資料は伊達英太郎氏保管)

中村鏡とクック25cm望遠鏡

2016年3月、1943年製の15cm反射望遠鏡を購入しました。ミラーの裏面には、「Kaname Nakamura maker」のサインがありました。この日が、日本の反射鏡研磨の名人との出会いの日となりました。GFRP反射鏡筒として現代に蘇った夭折の天才の姿を、天体写真等でご紹介します。また、同時代に生きたキラ星のような天文家達を、同時期に製造されたクック25cm望遠鏡の話題と共にお送りします。

2コメント

  • 1000 / 1000

  • double_cluster

    2021.08.03 09:13

    いつも貴重なコメントをいただき、ありがとうございます。たいへん励みになりますし、勉強にもなります。そうだったんですね。青木章氏ですか。サイトの記事も訂正させていただきます。火星の眼視スケッチは、シーイングがよくなった瞬間をイメージし、できるだけ私感を捨てて科学的に描く。本当に難しいことですね。現在のCMOSカメラで1000枚近く撮影し、そのうちの上位20~30%をスタックするなんて、昔の眼視観測者の方が知られたら、目が点でしょうね。ところで、これからは中野繁氏・冨田弘一郎氏・坂上務氏等のスケッチを掲載する予定です。それと、木辺氏の乾板写真も1941年のみですが、掲載します。お楽しみになさって下さいね。
  • manami.sh

    2021.08.03 04:50

    今回も、盛り沢山ですねぇ。 ・瀧田正俊氏の金星写真は、天界にも載っており、どのような方なのか知りたいと思っておりました。ありがとうございます。 ・名前のないスケッチは、15cm反射と25cm反射を使用していますが、両方で観測しておられるのは渡辺恒夫氏です。「1941年度衝に於ける火星協同觀測結果報告(1)」天界 (1942), 22(253): 209-212に協同観測参加者の使用機材リストで確認できます。しかし、描写があまりにも違います。 さらに調べると、なんのことはない青木章様でした。天界 (1942), 22(253)に1941.10.14のスケッチが載っていました。青木様は、15cm反射を使用していますので、25cmは渡辺恒夫氏の所有のものでしょうか。お二方とも大阪ですし。青木氏の報告枚数は26枚と記されています。 ・前田氏のスケッチの描写は、わりと好きです。 ・台北公会堂の情報も、ありがたかったです。こういうところなんですねぇ。 見ていて、すんなり受け入れられる描写もあれば、ごちゃごちゃして、受け入れがたい描写もあって、火星スケッチもいろいろです。 これからも、楽しみにしています。