1941年(昭和16)の月・惑星写真(1)

 今回から17回に分けて、木辺成麿氏・村子氏が撮影した、1941年の月・惑星写真をご紹介します。

 当時、天体写真を撮影していたアマチュア天文家としては、射場氏・清水氏・木辺氏・伊達氏が中心的な方々でした。

 木辺氏の31cm反射赤道儀です。1934年(昭和9)4月に完成し、日本一の国産赤道儀として、「科学画報」に紹介されました。

 掲載順は、

1.乾板保存袋(データ面)

2.乾板写真(縦10.7cm、横8.2cm)

3.乾板写真を反転させたもの

4.部分を拡大し、画像調整(MacOSに付属しているソフトを使用)させたもの

の順です。

 いずれも、TREVIEWER A4-500で乾板を照らし、Nikon D3100で撮影し、https://www.bannerkoubou.com/photoeditor/negativefilm/を使って画像を反転させました。

 今回の乾板写真はA2,A3です。

 1枚1枚、データが乾板写真に赤のペンで書かれています。

 クレーターが鮮明に写り、木辺鏡の優秀さがよく分かります。

(参考文献)

日本アマチュア天文史,日本アマチュア天文史編纂会,恒星社厚生閣,1987

(写真・乾板は伊達英太郎氏保管)

中村鏡とクック25cm望遠鏡

2016年3月、1943年製の15cm反射望遠鏡を購入しました。ミラーの裏面には、「Kaname Nakamura maker」のサインがありました。この日が、日本の反射鏡研磨の名人との出会いの日となりました。GFRP反射鏡筒として現代に蘇った夭折の天才の姿を、天体写真等でご紹介します。また、同時代に生きたキラ星のような天文家達を、同時期に製造されたクック25cm望遠鏡の話題と共にお送りします。

2コメント

  • 1000 / 1000

  • double_cluster

    2021.08.08 02:43

    コメントをありがとうございます。伊達英太郎氏が亡くなって、今年で68年になります。伊達氏が保管しておられた貴重な資料を公開できることは、とても意義あることだと思っています。今後とも、どうぞよろしくお願いします。私は実際に木辺鏡を覗いたことはありませんが、木辺氏の月面写真を見ていると、中村要鏡で見る月面と見え味がよく似ているなあと思います。名人の手になるものは、やはり共通性があるのでしょうね。
  • manami.sh

    2021.08.08 00:54

    今回も、盛り沢山ですねぇ。 冨田弘一郎、中野繁、坂上務の各氏は執筆活動もされ、著名ですねぇ。中野繁氏は、昭和30年代には「天文と気象」に村山定男と共著で月面観測の手引きを掲載しています。火星観測をされていた若い世代の方達で、引き続き観測を続けたのは渡辺恒夫氏、前田静雄氏だったでしょうか。中野繁氏の本職の方ので読める論文としては「玄羊及びキリンの血液型」や犯罪医学ものがありますが、「玄羊及びキリンの血液型」については、最初、見つけたときには、なんで?と思いました。竹内潤、西尾利夫、大柴謙三の各氏については、よく存知ません。なおさら、各氏を知る上で貴重だと思います。また、木辺氏の撮影したものの復元をとおして木辺鏡のすばらしさが、伝わってきます。