伊達氏が1940年(昭和15)に日本光学から購入した、接眼レンズの領収書です。1枚目はF25mm、価格は8円(現在の貨幣価値に換算すると約2万円)。2枚目はケルナー、2個で40円(同約10万円、1個約5万円)。
1937年(昭和12)に五藤光学に修理依頼をしたケルナー12.5mmの領収書です。価格は60銭(現在の貨幣価値に換算すると約1500円)です。良心的な価格ですね。
五藤光学のケルナーは、1個12円(同約3万円)。日本光学の約6割の価格になります。
1933年(昭和8)11月12日消印の、伊達氏宛の五藤光学研究所工場新築ハガキです。
小反射望遠鏡による太陽写真 伊達英太郎 1938年(昭和13)5月6日
4.現像、定着、水洗
この道程は普通の写真と何ら異なる点はなく、現像をやりつけておられる方には、全然その通りやっていただけば良いのです。只注意すべきは、この太陽写真は(全ての天体写真も同様)特に現像、定着、水洗の道程中におけるキズやホコリの付着を最も嫌悪しますので、細心の注意を以て行い、指等で膜面を撫でたり、擦るようなことのないよう厳戒しなければならない。
それからタンク現像が良いか皿現像が良いかという問題もありますが、これは各自熟不熟もあり、また好き好きもあり、不明なことをして失敗するより常に行いつけた方法で安全に行うのが賢明でしょう。タンクには、均一なネガができ、キズや塵の附着が少ないという特長があり、皿にはまた、現像の進行を見ながら適当な所で打ち切りを決定できるという長所がある。用事の多い方で毎日或いは隔日の現像が面倒臭い方は、数日分溜めておいて一度にタンクでやれば良く、現像進行を見つつ良い調子のネガを作りたい方が皿を使用されれば良く、どちらにしても注意して行えば良いネガが出来るはず。筆者は毎日2枚宛撮り、毎日或いは用事のある時は2日か3日に纏めて皿現像をしている。
尚、ここで注意すべきことが一つあります。それは、プロセス乾板は、露光を与えてから出来るだけ早く現像する方が好結果を得られるという点で、筆者もこれで2回失敗したことがありますが、1回は数日分をまとめて現像タンク内に納めておき現像したところ、古い日付のもの程、膜面一面に小さい黒い小さい黒いゴミのようなスペックが出来全然駄目。今一回は5月1日撮影の乾板を取り枠に入れたままバッキングも拭き取らず放置し、同6日に現像した所、白い斑点が諸所に出て、見苦しいものとなった。故に現像は出来るだけ早く、できれば撮影直後に行うのが良い。この意味から長く貯めてから現像するタンク現像より、一枚ずつ現像する皿現像の方が適当していると言えよう。
現像液はチューブ入りMQでも良く、使用乾板の指定処方もなお良く、ロジナル、プミドル、或いはイーストマンD76等の如き微粒子現像液も好結果を得られるのでしょう。筆者はMQとD76を交互に使用しています。夏期に入り液温が30℃以上に昇れば、下記処方の硬膜液浴を現像の後定着までに5分間行って膜を固めるのが良い。これによりキズのつく事も防げるから、四季使用して好結果を得られる。(処方)水500ccにクロームミョウバン15mgを溶解、3~5分間浸す。この代わりに酸性固膜定着液を用いるも可。定着は10~15分間、水洗は冷水で30~60分、必要以上の水洗は害あって益なし。乾燥は風通しの良い日陰で、乾けばすぐ原板袋に入れ保存。
(写真・資料は伊達英太郎氏保管)
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2021.09.14 12:52
2021.09.14 09:08
2021.09.13 12:57