部分月食と木星(Partial Lunar Eclipse and Jupiter)

 2021.11.19、皆既に近い月食が全国各地で見られました。バンドー神戸青少年科学館でも、恒例の星空ウォッチングがこの月食に合わせて開かれました。

 上の写真はクック望遠鏡に同架されているテレビュープロント直焦点で撮った18:02のほぼ食最大の月です。ZWO ASI183MC、sharpcapスナップショット1枚撮りです。

 On 2021.11.19, a lunar eclipse near everyone was already visible in many parts of Japan. The Bando Kobe Science Museum for Youth also held its annual stargazing event to coincide with this lunar eclipse.

 The photo above is the largest moon in the eclipse at 18:02 taken with the Televue pronto direct focus attached to the Cooke Telescope, ZWO ASI183MC, and a single sharpcap snapshot.

 館内ホールに月食を配信する時間が終わった20時頃、高度が下がってきてはいましたが、クック25cm屈折望遠鏡で木星を撮影しました。

 Around 8:00 p.m., after the time to deliver the lunar eclipse to the museum hall, I photographed Jupiter with the Cooke 25cm refractor telescope, although the altitude was decreasing.

 シーイングはかなり悪く、200倍で見た木星は一瞬たりとも止まっていませんでした。撮影は20:23、sharpcapで1000枚動画を撮影し、ステライメージで上位30%をコンポジット後、レベル調整・オートストレッチ・スマートマルチバンドシャープ・惑星色ずれ補正をした画像が上の写真です。木星の左にうっすら見えているのはエウロパです。

 Seeing was quite poor, and Jupiter, viewed at 200x, did not stop for a moment. The image above was taken at 20:23, with 1000 video shots taken by sharpcap, composited with the top 30% by Stellar Image, level-adjusted, auto-stretched, smart multi-band sharpened, and corrected for planetary color shift. Europa is faintly visible to the left of Jupiter.

 クック25cm屈折望遠鏡の解像力の高さがよく分かります。

 「クック望遠鏡で木星をCMOSカメラで撮影できる幸せ者は、世界でわずかなんだろうなー。」

 こんなことを考えながらパソコンの画面を見つめていました。

 The high resolving power of the Cooke 25cm refractor telescope is clearly visible.

 I thought to myself, "There must be only a few happy people in the world who can photograph Jupiter with a CMOS camera using the Cooke Telescope."

 I was staring at the computer screen thinking this.

中村鏡とクック25cm望遠鏡

2016年3月、1943年製の15cm反射望遠鏡を購入しました。ミラーの裏面には、「Kaname Nakamura maker」のサインがありました。この日が、日本の反射鏡研磨の名人との出会いの日となりました。GFRP反射鏡筒として現代に蘇った夭折の天才の姿を、天体写真等でご紹介します。また、同時代に生きたキラ星のような天文家達を、同時期に製造されたクック25cm望遠鏡の話題と共にお送りします。

4コメント

  • 1000 / 1000

  • double_cluster

    2021.11.21 05:43

    晋様 「クック物語」お読みいただきまして、ありがとうございます。偉人の物語というか、偉大な人物の物語というか。奇跡の連鎖というか。こんなすごい望遠鏡が廃棄されず生き残り、神戸にいてくれる。私は科学館に行き、クック望遠鏡に近づく、触れる、それが幸せです。対物レンズの歴史もなかなか奥が深いですね。最新=最高とならないところが面白いです。12cmのアクロマート(最初は笠井のシュワルツ120でしたが=私も愛用していました、ケンコーのもSynta製です)ですが、F12であまり無理のない設計ですから、色収差を感じさせにくいと思います。諸収差も良好に補正されています。軽量で、惑星・月・ディープスカイ等オールマイティーな鏡筒だと思いますよ。(懐にも優しいですし。)
  • 2021.11.21 05:21

    先ほど『クック物語』を読み終えました。 波乱万丈物語を見ているような壮大な歴史物語ですね。 当方も1930年代に製造された真空管を使ったアンプを使って音楽を楽しんでおりますが、時代を超越した名器と呼べるものがどの世界にも存在するのが分かります。 西村製作所でメンテナンスされているクック望遠鏡のレンズの白黒写真を見ると、二枚玉のアクロマートのようですが、物語を読んでいるうちに素晴らしい解像度を持っているものと想像させられます。大きさは異なりますが、昔中学の天文気象部で4cmのNIKONのアクロマートレンズの解像度が25cmの関西光学製の反射望遠鏡を凌駕して驚かされましたが、現在は昔は夢の素材だったフローライトやアポクロマートの時代になったようですね。最近12cmクラスのアクロマート(例えばKenko製)と7cmクラスのアポクロマート(Skywatchr製)が同価格ですが、もし購入するならどちらが良いかと考えております。
  • double_cluster

    2021.11.21 02:51

    晋様 コメントをありがとうございます。関東方面はあいにくの天候だったようで残念でしたね。金星食や前回の皆既月食は、関西はベタ曇りでした。やはり天候は思うようにいきませんね。クック25cm屈折望遠鏡ですが、眼視による火星観測全盛期に製造されていますので、惑星観測に特化されている望遠鏡のようにも思います。木星の動画を見ていても、一瞬像がピタッとした時は鳥肌が立ちました。25cmの解像力は、やはりすごいですね。