海外の天文書籍(1932年)

 1932年(昭和7)9月頃、伊達英太郎氏が、海外の天文書籍について丸善?に尋ねたことに対する返信です。担当者(菊池喜久雄氏?)は英語が堪能で、天文にも関心があったようです。

 ・Astronomical atlases,maps and charts.An Historical and General Guide.Fully illustrated.

 (天文用アトラス、地図、チャート、歴史的・一般的ガイド、全図解)Brown著

  13.50円(2022年の貨幣価値で約4万円)

 ・1001 Celestial Wonders.

 (宇宙の驚異1001個)Barnes著

  5.50円(約1.5万円)

 ・Field Book of The Skies.

      7.00円(約2万円)Olcott.-WM.T and Ed.W.Putnam.著

 ・A Star Atlas and Reference Hand Book.

  7.85円?(同約2.2万円?)Norton.A.P著

 ・Star atlas

  11.20円(同約3.2万円)Upton著

 ・Splendor of the Heavens.

  (天界の輝き)

  18円(同約5万円)Hutchinson著

 ・Celestial objects for Common Telescope.(Vol.1,2)

  Webb.T.W著

 ・Popular Star Maps.

  4.50円(同約1.3万円)Hecky著

 当時の海外の天文書籍を知る上で大切な資料ですね。

(参考文献)

ハーシェル天体ウォッチング,ジェームズ・マラニー 角田玉青,地人書簡,2009

(資料は伊達英太郎氏天文蒐集帖3より)


  

中村鏡とクック25cm望遠鏡

2016年3月、1943年製の15cm反射望遠鏡を購入しました。ミラーの裏面には、「Kaname Nakamura maker」のサインがありました。この日が、日本の反射鏡研磨の名人との出会いの日となりました。GFRP反射鏡筒として現代に蘇った夭折の天才の姿を、天体写真等でご紹介します。また、同時代に生きたキラ星のような天文家達を、同時期に製造されたクック25cm望遠鏡の話題と共にお送りします。

2コメント

  • 1000 / 1000

  • double_cluster

    2022.04.17 22:29

    伊達資料には海外の書籍は残っていませんでした。海外の天文書籍に関しては、射場氏が潤沢に所有していた可能性があります。射場氏の星図を撮影した写真が残っていますので、また照合してみます。貴重な情報をありがとうございます。
  • manami.sh

    2022.04.17 13:24

    伊達氏の蔵書には海外の書籍もあったということでしょうか。B.Brown,Astronomical atlases,maps and charts.は野尻抱影氏の蔵書にもあったのは、小島修介氏が記しているところです。Hutchinson,Splendor of the Heavens.は、月の項はGoodacer(当時BAA月面課長)が書いているし、その他の項も著名な方達が書いていて、今でもとても参考になります。概して、それぞれ豪華本だと思います。B.Brown,Astronomical atlases,maps and charts.は、見てみたいとは思いますが、古本でも高額。星図は海外のものでないと、解説に不足を感じていたのでしょうか。「星座行脚」は小森幸正氏 ですが、小森氏も海外のものをいろいろ持っていたのでしょうか。菊地氏の調査報告、興味深いです。