倉敷天文台100周年(3)

 倉敷天文台の経緯度は、2回観測されました。1回目は、1926年(大正15)11月20日~24日、理学博士山本一清氏・理学士竹田新一郎氏が行いました。2回目は、1934年(昭和9)10月13日〜16日、理学博士山本一清氏・理学士稲葉通義氏・理学士公文武彦氏が行いました。この写真は、2回目の観測の初日になります。

 観測の結果、倉敷天文台の経緯度は、東経8h55m4.96s,北緯34°35'33.3"であることが分かりました。

 これから、伊達英太郎氏天文写真帖に残された、倉敷天文台で撮影された天体写真をご紹介します。

 撮影者は不明です。

 1932年(昭和7)の「天界」を調べても、金星食の話題はありませんでした。一種の合成写真でしょうか。1932年6月は、金星が内合前です。

(追記)

 manami.sh様からご指摘のように、5/29(この日は下弦から2日後)6/4(新月)共に月齢8.7の月ではありませんでした。月の撮影は年月日不明。そして、月を撮影した同じ乾板に、1932.5.23の金星(最大光輝から1週間後の宵の明星)、1932.6.4の金星(内合に近づき更に視直径が大きくなった)を撮影したと考えるのが正しいようですね。

 manami.sh様、ありがとうございました。

(更に追記)

 この種明かしが、「倉敷天文台100周年(4)」にありますので、お楽しみに!

(参考文献)

倉敷天文台,水野千里,天界1929,7(100):377-382,天文同好会

本年五月の天象,天界,1932,5(133):198-199,天文同好会

本年六月の天象,天界,1932,6(134):237,天文同好会

(写真は伊達英太郎氏天文写真帖より)

中村鏡とクック25cm望遠鏡

2016年3月、1943年製の15cm反射望遠鏡を購入しました。ミラーの裏面には、「Kaname Nakamura maker」のサインがありました。この日が、日本の反射鏡研磨の名人との出会いの日となりました。GFRP反射鏡筒として現代に蘇った夭折の天才の姿を、天体写真等でご紹介します。また、同時代に生きたキラ星のような天文家達を、同時期に製造されたクック25cm望遠鏡の話題と共にお送りします。

3コメント

  • 1000 / 1000

  • double_cluster

    2022.07.10 22:26

    問題は多そうです。天体写真の初期で清水真一氏や伊達氏のようなエキスパートがほとんどいなかったからなのでしょうね。
  • double_cluster

    2022.07.10 22:20

    コメントをありがとうございます。ご指摘を感謝します。残されている倉敷天文台の写真は、データがなかったり、質が良くなかったりと
  • manami.sh

    2022.07.10 22:08

    月齢8.7と記されていますが、5月29日も6月4日も該当しません。単に試写したのか、何らかの意味が あったのか。 昨日のさそり座デルタ(2等星、月齢11)の食は、コンデジでも大丈夫でした。