望遠鏡博物館

 2016年7月31日、香川県にある天体望遠鏡博物館に行ってきました。猛暑の中の見学となりました。ここには、全国の天文台や個人から、各種の望遠鏡が寄贈されています。そして、展示・活用もされています。

 私のお目当は、かつて京都大学花山天文台や山本天文台で活躍し、その後、数奇な運命を辿って各地を転々としたカルバ−46cm反射赤道儀でした。その46cm反射鏡は、反射鏡研磨の名人である、カルバー氏が製作されたものです。体育館奥の目立つ場所に、カルバー46cm反射赤道儀がありました。威容を誇る巨体は、周囲を圧倒していました。ただ、塗装が剥がれ、傷だらけの姿は、かつて繁栄した恐竜の化石を私に思わせました。今、その反射鏡は、実用には適さない状態だそうです。

 次に目を引いたのは、中村要氏がレンズ研磨をした、改發氏所有の15cm屈折赤道儀でした。現在はレンズは無く、やはり残骸感は否めませんでした。

 別の展示室には、中村要氏製作の反射鏡がありました。口径は15cmと説明されていましたが、ヨシカワ光器社長に伺ったところ、口径は10cmとのことでした。文化財級という表示に、中村鏡の価値の大きさを知りました。

 たくさんの素晴らしい望遠鏡群を目の当たりにして、充足感に満たされました。そして、これらの望遠鏡群を、保存・管理・展示されている関係者の皆様の熱意に敬意を表する気持ちにもなりました。しかし、暑さによる疲れもあったのでしょうが、少し寂しい気持ちになったことも事実です。かつて星の光を浴びていた望遠鏡たち。やはり、現役として活躍していた姿が見てみたかったなと思いました。

(4枚目写真は、花山天文台に設置された頃の、カルバー46cm反射赤道儀です。この望遠鏡は、イギリス天文協会の月面課長だった、グド・エーカー氏から山本一清氏が購入したものです。写真は、伊達英太郎氏主催天文研究会会誌「THE MILKY WAY」より)




中村鏡とクック25cm望遠鏡

2016年3月、1943年製の15cm反射望遠鏡を購入しました。ミラーの裏面には、「Kaname Nakamura maker」のサインがありました。この日が、日本の反射鏡研磨の名人との出会いの日となりました。GFRP反射鏡筒として現代に蘇った夭折の天才の姿を、天体写真等でご紹介します。また、同時代に生きたキラ星のような天文家達を、同時期に製造されたクック25cm望遠鏡の話題と共にお送りします。

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