再メッキ後、各部品の組み立てや光軸調整をし、ファーストライト(初めて星を見ること)を行いました。この望遠鏡は、斜鏡スパイダーが3本なので、星像には6本の放射光が出ます。とにかく、ピントの山が明確です。清潔感のある星像。土星を見たところ、カッシーニの空隙がヘアラインのように見えました。月を見ると、クレーターのエッジがキリッと締まって見えます。ミラーによって、これ程見え方が変わるのかと驚嘆しました。感動的な像です。
木辺成麿氏が、「中村要氏の磨いたミラーの何点かは現存している筈・・・とは言え、持っている方の秘蔵物になっているせいもあって、それが世に出てくる機会は多分皆無であろう」とインタビュー記事で語っておられました。
山本一清氏は、「反射望遠鏡」(中村要著、恒星社版)の序で、「只、今日、自分の念頭に往来することは、故中村君が製作した数百個の鏡面や、レンズが、今、誰々の手に渡り、又、如何にして学的に役立っているか?或は、単に、死蔵されて、作者の意に背きつつあるようなことはないか?という一事である。」と述べておられます。
鏡面が完成して91年、機械部分が作られて75年。中村要氏の遺志と共に、更に長い年月、この望遠鏡が活躍し続けられるように、大切に管理し、使わせていただこうと思います。
(2018.2.24 19:40 セレストロンズーム8-24 キャノンS95 オート撮影)
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