T. Cooke & Sons 25cm屈折望遠鏡

  兵庫県神戸市中央区の人工島(ポートアイランド)に、バンドー神戸青少年科学館があります。ここには、かつて海洋気象台(神戸)に設置されていたT. Cooke&Sons製(イギリス)25cm屈折望遠鏡(1,4枚目写真)があります。当時のT.Cooke&Sonsの天体望遠鏡は、世界最高性能を誇っていました。購入価格は5万円(現在の貨幣価値に換算すると約1億5千万円*)でした。日本国内に輸入された屈折望遠鏡では3番目に古いものです。

 1番目は1880年頃輸入された、トロートン&シムズ社20cm屈折望遠鏡(イギリス、重要文化財、2枚目写真)です。国立科学博物館に展示されています。

 2番目は1910年に輸入された、京都大学花山天文台のザートリウス18cm屈折望遠鏡(ドイツ製、3枚目写真)です。これは、現在も太陽観測に使用されています。ただし、接眼部には太陽プロミネンス観測装置が付けられているので、覗くことはできません。ガイド鏡は10cm屈折望遠鏡(レンズは反射鏡研磨で有名な木辺成麿氏製作)です。

 3番目が1924年に海洋気象台(神戸)に設置された、T. Cooke&Sons製25cm屈折望遠鏡です。

 4番目は1925年に輸入された京都大学のT.Cooke&Sons製30cm屈折望遠鏡(現在はカールツァイス45cmレンズに換装、5枚目写真)と東京天文台(現国立天文台)のブラッシャー20cm天体写真機です。

 これらから、クック25cm屈折望遠鏡が歴史的にとても貴重な望遠鏡であることが分かります。さらに、この望遠鏡が毎日一般公開(太陽観察)されていることは、すごいことだと思わされます。

(参考文献)

神戸市教育委員会望遠鏡小史編集委員会(1984)『ふたたび太陽を追って』 ,神戸新聞出版センター

山本一清校閲・東亜天文学会編(1950), 『中学天文教室 天体観測の手引』,恒星社

*ほぼ同時期に、京都大学が購入したT.Cooke & Sons製30cm屈折望遠鏡(中古)の価格は1000ポンドでした。現在の貨幣価値に換算すると5000万円~6000万円に相当します。山本一清氏に、英国人のスコフィールド氏が「それはGiftだ」と言って驚きかつ喜んだという記録が残っています。25cm屈折望遠鏡の価格が1億5千万円というのは少し高すぎるかもしれませんが、神戸のクックが新品だったことを考えると妥当な線かもしれません。

中村鏡とクック25cm望遠鏡

2016年3月、1968年製の15cm反射望遠鏡を購入しました。ミラーの裏面には、「Kaname Nakamura maker」のサインがありました。この日が、日本の反射鏡研磨の名人との出会いの日となりました。FRP反射鏡筒として現代に蘇った夭折の天才の姿を、天体写真等でご紹介します。また、同時代に生きたキラ星のような天文家達を、同時期に製造されたクック25cm望遠鏡の話題と共にお送りします。

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