阪神両支部合同見学会

海洋気象台・諏訪山金星台・改發天体観測所・射場天体観測所

 1941年(昭和16)6月6日、東亞天文協会大阪支部・神戸市部合同の見学会がもたれました。行き先は、海洋気象台・諏訪山金星台・改發天体観測所・射場天体観測所でした。

 海洋気象台にはクック25cm屈折赤道儀が、改發天体観測所には15cm屈折赤道儀(中村要氏研磨)が、射場天体観測所には19cm屈折赤道儀(中村要氏研磨)がありました。なお、射場天体観測所は、当時天文台をも凌ぐ国内随一の設備を誇っていました。

 中央の長い筒が、15cm屈折望遠鏡(中村要氏研磨)、手前の白い筒が1932年(昭和7)に完成した、13cm天体写真儀(中村要氏研磨、4枚玉)です。

 前列左端が伊達英太郎氏(影の中)、後列右から4人目が柴田淑次氏です。

 改發氏の15cm屈折赤道儀は、現在香川県の望遠鏡博物館に展示されています。

 1936年(昭和16)6月19日の北海道皆既日食(神戸・大阪は部分日食)のために、射場天体観測所の19cm屈折望遠鏡(中村要氏研磨)は、白く塗装されました。

 井本進氏が、射場天体観測所で撮影した部分日食です。

 射場天体観測所の充実した機材の様子がよく分かります。

(参考文献)

大阪支部報,東亞天文協会大阪支部,1936/6/1

中村要と反射望遠鏡,冨田良雄・久保田諄,ウインかもがわ,2000

(資料は伊達英太郎氏天文蒐集帖、望遠鏡博物館の写真以外は伊達英太郎氏天文写真帖より)

中村鏡とクック25cm望遠鏡

2016年3月、1943年製の15cm反射望遠鏡を購入しました。ミラーの裏面には、「Kaname Nakamura maker」のサインがありました。この日が、日本の反射鏡研磨の名人との出会いの日となりました。GFRP反射鏡筒として現代に蘇った夭折の天才の姿を、天体写真等でご紹介します。また、同時代に生きたキラ星のような天文家達を、同時期に製造されたクック25cm望遠鏡の話題と共にお送りします。

2コメント

  • 1000 / 1000

  • double_cluster

    2023.04.20 08:25

    コメントをいただきありがとうございます。今回は、大阪支部報と該当する写真(再掲載)をタイアップしました。ところで、1941年6月の時点では、クック望遠鏡は使用されていませんでした。見学会でクック望遠鏡が公開されたかは不明です。 現在、クック望遠鏡は昼間のみの公開になっています。おいでの際は、時間帯にご注意下さいませ。
  • manami.sh

    2023.04.19 22:39

    これも貴重ですねぇ。 海洋気象台・諏訪山金星台・改發天体観測所・射場天体観測所の当時の状況がわかります。 柴田氏も写っており、伊達氏との繋がりもわかります。 クック望遠鏡は、訪ねてみたいです。