ミヤニ式反射望遠写真鏡

 日中戦争(1937-1945)開戦後、西村製作所は軍需産業の開発・製造にシフトしていきました。カセグレイン式反射光学系写真鏡として開発されたのが、ミヤニ式反射望遠写真鏡です。鏡径は8~10cmでした。元京都大学花山天文台職員の宮沢堂氏と西村製作所が協力して完成させたので、[宮沢西村]式、つまり[ミヤニ]式となった訳です。レンズ材不足を補うために、ガラス1枚で製作可能な反射鏡に注目が集まったのでしょう。

 写真鏡としては、バックのボケ方に特徴がありました。

 この写真は、約70m先の景色です。 

 この写真は約180m先の景色です。

 この写真は、ミヤニ式望遠活動写真機です。(下はこの写真の裏書きです。)

 この活動写真機で撮影したフィルムです。(写真の裏に挟まれてありました。)

 上のフィルムを拡大しました。

 下のフィルムを拡大しました。

 設計図写真です。裏書きを見ると、軍事機密扱いだったかもしれないことが分かります。

 ミヤニ式写真鏡についての、1939年(昭和14)の新聞記事です。

(参考文献)

西村製作所望遠鏡とその最古の天体望遠鏡写真帳,中島隆・西城惠一・洞口俊博,国立科学博物館理工学研究部,2013

(写真は伊達英太郎氏天文写真帖より、資料は伊達英太郎氏天文蒐集帖より)

中村鏡とクック25cm望遠鏡

2016年3月、1943年製の15cm反射望遠鏡を購入しました。ミラーの裏面には、「Kaname Nakamura maker」のサインがありました。この日が、日本の反射鏡研磨の名人との出会いの日となりました。GFRP反射鏡筒として現代に蘇った夭折の天才の姿を、天体写真等でご紹介します。また、同時代に生きたキラ星のような天文家達を、同時期に製造されたクック25cm望遠鏡の話題と共にお送りします。

5コメント

  • 1000 / 1000

  • double_cluster

    2023.02.27 11:29

    ご覧いただき、ありがとうございます。まだまだ、つまみ食い程度のご紹介になっていますので、本腰を入れてと自分に気合いを入れます。 当地は申し訳ないのですが、よく晴れています。コンデジは、短時間で撮影できますので、本当に便利ですね。
  • manami.sh

    2023.02.27 09:57

    早速、読みました。おっしゃる通り、伊達氏資料は戦前・戦中のアマチュア天文界を知るには第一級の資料ですねぇ。 今日は、金星・木星が雲間からみえましたが、こちらは相変わらず天候が良くないです。 今後とも資料の紹介・解説をお願いします。
  • double_cluster

    2023.02.26 22:43

    近田要氏についての解説と、親里観測所の写真を追加しました。ご覧くださいね。