水路部・秋吉海軍大佐から東北帝大松隈健彦教授への返信
「昭和十六年六月十八日 水路部 秋吉大佐
松隈東北大学教授殿
日食に関し 再三御照会有之一向申し上げず失礼仕り候 実は郷里にて不幸ありてしばらく帰省いたしており その前後にて御迷惑相掛り申し候
御申し越し如く期日も切迫し 色々御多忙の事と存じます
偖(さ)て海軍省より現地艦隊の方への照会に対してはいかにせんかまだ回答無きの趣にて 至急催促してもらい居りたるところ 海軍省としては差し支えなきものと認めおり候へ共 尚現地より返事の来るのを待ち居り候 運送船は芝浦 横須賀 呉よりは上海行便は無き之 佐世保にて積み替えを要す 而して相当日数に余裕あれ
ば 佐世保積み換えも不可能には非るも 佐世保まで汽車輸送とせらるれば 佐世保より先は無賃輸送取り計らいと申すべく 之は船便は特に配船しても必ず間に合う様考えてもらう約束仕り候 又上海にての積み換え等は苦力を傭て行うものに付き その労賃は荷主に於いて負担願いたく 又人員の便乗は荷物と一緒ならば差し支えなきも船室の数が問題と相成り候
大体右の如き条件の下にても御挙行相成るべきや否や
方面艦隊よりの返事二、三日中には到着致すべきを以て その結果は直に電報を以て御通知致し度 先般御申し出の条項に従いて当方に於いて爾後交渉は進め申すべきも 要すれば一度御上京を願うことも有り之べきに付 あらかじめ御承知置き相成り度し
本日はこれだけのこととし 餘は後日を期し申し候 (終)
尚 成るか成らざるかは判らずとするも 以上申し上げたること 或いはそれ以外に就いても 御希望あらば御遠慮なく 希望として御申し送り下され度く候
地球物理より ロタ行き希望者の件 先日御話これあり候 至急小生迄 具体案御申出これあるよう 御伝え願い上げ候」
(引用)
故秋吉利雄氏保存資料
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