1941年中国大陸・台湾・石垣島皆既日食(44)

東北帝大・東京帝大・東京天文台・京都帝大観測計画、松隈教授追悼文

 「天文月報」(第34巻第9號,日本天文学会,1941.9)に掲載された、各大学・研究機関の観測計画です。九州帝国大学・上海自然科学研究所・電波物理研究会については書かれていません。

 東北帝国大学 松隈健彦教授が逝去された時に、東北大学 一柳壽一教授(ひとつやなぎ じゅいち、1910-1998、下写真)が、追悼文を「天文月報」(天文月報第43巻第3號,日本天文学会,1950.3)に寄せています。 

 「『仙台での先生(松隈健彦教授)』

 (前文略)旅行もお好きで旅行をすると大いに健康を感ずるとあって気軽に出かけられた。私の知る限りでも満州、華北、華中、台湾、琉球、それから日食で漢口上流のはい州までも行かれた。この日食行は私も一緒だった。観測の方は薄曇りでよくなかったが揚子江の船旅とひと月余りの中国の田舎町での生活は共に愉快な思い出となった。なにか長い夏の休暇を済ました思いで帰って来ると間もなく戦争が始まった。(後文略)」(引用:天文月報第43巻第3號,日本天文学会,1950.3)

中村鏡とクック25cm望遠鏡

2016年3月、1943年製の15cm反射望遠鏡を購入しました。ミラーの裏面には、「Kaname Nakamura maker」のサインがありました。この日が、日本の反射鏡研磨の名人との出会いの日となりました。GFRP反射鏡筒として現代に蘇った夭折の天才の姿を、天体写真等でご紹介します。また、同時代に生きたキラ星のような天文家達を、同時期に製造されたクック25cm望遠鏡の話題と共にお送りします。

2コメント

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  • double_cluster

    2023.12.31 07:01

    コメントをいただきありがとうございます。本年もたいへんお世話になりました。ありがとうございました。ところで、秋吉利雄様の資料の整理・撮影にあたっては、秋吉利雄様のお孫様の麗子様(ローソップ島皆既日食にコメントをいただきました)にたいへんお世話になりました。ピントがあまい資料などは、何度も再撮影をお願いしてしまいました。私はブログを更新するたび、幻のロタ島日食遠征計画について、これほど詳細に書かれた資料は、おそらく今まで存在していなかったのではないかと感じていました。また、中国内地の緊迫した状況、台湾での観測計画等も、秋吉利雄様しか知り得なかったことが多かったと思います。本当に貴重な資料の数々ですね。どうぞ、良い年をお迎えください。
  • manami.sh

    2023.12.31 05:21

    ローソップから始まって、秋吉利雄様の資料も加ったことで、当時の状況がわかりました。とても貴重な資料です。公開に当たっては、資料の整理、準備は大変なご苦労だったと思います。松隈教授については いろいろと知ることができました。ありがとうございました。