ローソップ島状記(3)
(3) 衣類
ローソップ島民の衣服は トラック島の日本人より現金払いにて買い入れ 大部分は既製品なり 材料は木綿 又は 極めて安物の人絹なり 男子は平常は内地大工風にして 裸足なるも場合に依り 白麻詰襟 洋服に帽子をかぶることあり 靴は白靴か若しくは黒ぼつくすなり 女子は簡単なる夏洋服を着し 常に裸足なり 色は桃色 又は 白にして 他の色は好まざるものとし 男子にして赤き腰巻を為せる者 又は 其の上より 更に半ズボンを着せるものあり 椰子より作る腰蓑を着せる者は 老人に一人あり 又 赤色に染めたる腰蓑を着せる者1名ありしも ズボンの上より着せり 女子にして腰蓑を着せる者なし ミシンを有せるは ルーベル伝道師のみにして 一般に紋を縫いとらせず 洗濯は石鹸を用い 棒にてたたきてなす アイロンを有せる者あり 仕上げ上手にして 隊員衣服の洗濯に不便を感ぜず
食物
ローソップ島民の主食物 パンの実 タロ芋(焼き又は煮て食す)なるも 時々トラックより南京米を買い入ることあり 副食物は椰子コブラ バナナ 魚 豚 鶏 太等を挙げ得るも 其の分量は 極めて僅少なり 生物は 卵と雖も生まず 又 調味料を用いず 海水にて煮る焼く場合は 焚火の上にのせてなす 他島との島民相互間にては物々交換に依りて食料を取り入れ 万一 飢饉等の場合には 他島酋長が食料を集め 無償にて提供することとなす
(引用)
故秋吉利雄氏保存資料
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