ローソップ島状記(4)
(4) 家屋
木材は主としてパンの木 及び 椰子の木を使用す ロソップ島民家の屋根は タコの木の葉を使用せるも 普通は象牙椰子の葉を使用す 床を張れる家は富裕階級なり ロソップ島に◯◯建バンガロー風の家屋三戸あり 内一戸は建築中なり 外側を板にて囲めるものと全て壁を面せす 軒を低くしたタコの葉を 地面近くまでたらしたものとあり 屋根をトタン板にて作り 釘を使用するは 洋風建築に限り 其の他は椰子縄を以て縛り付けたり 教会堂は木造水色ペンキ染めトタン葺きの洋風建築なり 一棟一戸一室制なり 便所は設備なく 多くは海中にて用便す 用便の際 木の葉紙等を使用する時は洗手せず 炊事は居室一隅 又は 床を張れる家は 床下にてなす 室内調度としては 南京箱と称する長持用の箱 又は 時々トランク等を有する者あるも 多くは一物を有せず 炊事用品としては 鍋 石油空缶 包丁 バケツ 洗面器(後は二物は洗濯供用)等なり 食器は現在に於いては おはち用のもの 及 せと引皿を使用し 指にて食す 箸を使用せず おはちは椰子の葉にて作れる 内地のおはち入用なるも 蓋を有せず 椰子の実パンの実等を煮炊せるものは 先を之に入れて 然る後に 引皿に盛り 各人に供す 近頃までは せと引皿の代わりに 木を舟型にくり抜きたる物に盛りて 供せよと言う時に この古き舟型の食器が放棄されあるを見る 寝具はアンベラを敷き 寒き時には 上よりアンベラ被り 又は 木綿の蚊帳敷布等を被る 枕はあるものを使用す 燈火を使用する家は 極めてなし(石油ランプ)
(引用)
故秋吉利雄氏保存資料
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