ローソップ島状記(5)
(5)教育
ローソップ島に於ては ルーベル伝道師夫妻により 満7歳より教育を開始す 公学校入学学齢たる満12歳◯に一通り予備教育を施せり 学齢児童数は 毎年30名を超えるも 特に公学校入学を希望する者無し 又 公学校は定員に制限ある為 本島よりは 一昨年3名 昨年は5名入学を許されたり ルーベル伝道師に於て 体健全にして風土病無く 成績優秀なる者を選抜す 残余の者に対しては 引続き同伝道師より 算術(加減・乗除及初等分数) 読書(初学者には片仮名其の後平仮名) 唱歌(島民歌にして音符を付するも楽器を使用せず) 聖書等を毎日授業 女子に対しては 伝道師妻女より 家事・裁縫をも授業す 裁縫は昨年より始めたるものにして 極めて不手際なり 島民の使用する島語の讃美歌及聖書は ローマ字活版刷り立派なる本にして米国制なり 聖書は新訳のみにして 1870年頃米国宣教師の翻訳に成れるものという 文房具は石盤石筆を使用せるのみ 黒板を用いて授業す 之に用いる建物は 八間に四間位の1棟1室にして タコの葉にて屋根を葺き 外壁・床・腰掛けなく 生徒は皆砂上に座す 教壇◯堂と演台の如きものにして 其の上にテーブル1本と 曲木の椅子2,3を置き黒板を置く 柱時計1個あり 建物の位置は ローソップ島の中心より少々西方近き所にあり 日曜祭日の外に休暇なくも 毎朝9時より授業を開始す 授業時間は 唱歌 聖書 各1時間にして 他は全部30分宛なり 授業は年齢の異なりたる者に対し同時にす為 寺子屋式方法を採れり 聖書講
(引用)
故秋吉利雄氏保存資料
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