清水真一氏のハガキ(8)

1934年5月29日 木星と4大衛星

 「其後御無沙汰仕候 此頃木星を試写仕候 10センチにてはやや暴挙の部類かと存候 只勇敢を御笑ひ(い)被下度(くだされたく)候 木星面は4ミリアイピース 衛星を食(は)むものは25ミリ使用 例のイコンタにパンアトミックヒ(フィ)ルム 及フィルター使用仕候 露出は何れも20秒内外に候 尚又 カストールは6ミリ使用のものに候 レオγは2,3回試候も エロンゲート仕候 又金星は2月中のものに候も 前に差上しものよりはよろしくかと存候 同封仕候 去17日神戸萑部氏来訪され候 射場氏も其頃来訪の筈の処 雨にて来月に伸は(ば)され候 第4衛星原板にても淡く プリントの関係にて一層不明瞭と相成候 拝具」

(資料は伊達英太郎氏天文写真帖より)

*崩し字の解読は、柴田哲男様(三木古文書研究会)にしていただきました。

中村鏡とクック25cm望遠鏡

2016年3月、1943年製の15cm反射望遠鏡を購入しました。ミラーの裏面には、「Kaname Nakamura maker」のサインがありました。この日が、日本の反射鏡研磨の名人との出会いの日となりました。GFRP反射鏡筒として現代に蘇った夭折の天才の姿を、天体写真等でご紹介します。また、同時代に生きたキラ星のような天文家達を、同時期に製造されたクック25cm望遠鏡の話題と共にお送りします。

4コメント

  • 1000 / 1000

  • double_cluster

    2025.05.24 00:49

    返信が遅くなり申し訳ありません。崩し字の先生は、「江戸時代より、明治から昭和の崩し字の解読の方が難しい」とおっしゃっていました。清水真一氏のハガキ(4)の「H18V」の意味が分かりませんでしたが、文面から明らかにM110だと気付きました。M110が認知されたのが1966年ですから、1933年当時は当然別名だったんですね。まさに「ホーッ」です。未知との遭遇でした。「月刊星ナビ」は、新発見の写真が続々と出てきています。良いものになるように、じっくり仕上げていこうと思っています。「天文教育」のダウンロードをありがとうございます。投稿にあたり、秋吉利雄氏のお孫様と資料の読み取りについて綿密に打ち合わせを行いました。ご感想を賜れば光栄です。よろしくお願いします。
  • manami.sh

    2025.05.21 21:19

    手書きの文章には、書き手の読み手との間に同じ土壌があるでしょうから、外にいる者からは わかりずらいことが多々あるのは推測できます。ご苦労が多々あるのですねぇ。その分、未知の 領域に踏み込まれており、新たな発見が出てきていると思っています。「月刊星ナビ」楽しみです。 「天文教育」、早速ダウンロードしました。読み終えたら、感想を記させていただきたいと思って おります。
  • double_cluster

    2025.05.21 04:54

    manami.shさま、本当にご無沙汰しております。なかなか更新ができず、申し訳ありませんでした。実は京都産業大学の企画展協力の繋がりから、「月刊星ナビ」に掲載する「帝国海軍、天体測量、ローソップ島皆既日食」(仮題)の記事をまとめておりました。秋吉利雄氏のお孫様、現地の情報をおもちの「umi」様とも連絡を取り合って現在推敲を重ねているところです。記事を書きながら、月暦がいかに難しいか、航海暦作成がいかに困難なことであるかを学ぶことができました。今年の秋頃には掲載予定です。清水真一氏のハガキですが、崩し字がとても読みづらくブログでの公開は難しいかと思っていました。しかし、たまたま職場の方が古文書研究会に入会していることを知り、そこの先生に解読をお願いすることができました。「伊達氏のアルバムにある清水氏の写真は、この時伊達氏に送られたんだなあ」など、新たに分かってきたこともあります。今後は、天文教育普及研究会の回報「天文教育」にも投稿していこうと考えています。すでに、2024年11月号、2025年1,3月号に「1941年皆既日食」についてを投稿いたしました。お時間がございましたらどうぞご覧ください。