クック25cm製造年の謎(7)

マーティン・ルン氏との往復メール

 マーティン・ルン氏 MBE FRAS(元ヨークシャー博物館⦅ヨーク⦆天文学担当学芸員)とのメールのやりとりで、クック25cm屈折望遠鏡(神戸)の製造にまつわる事情がはっきりしてきました。

 海洋気象台の機関紙「海と空」に、クック望遠鏡の海洋気象台への据付時期に関する記述がありました。 

「最近、赤道儀式十吋望遠鏡の据付も終り其他諸般の設備が全く完整されましたので本月(1924年4月)十五日竣工式がとり行はれます。引き続いて、十六、十七の両日は関係官衛其他一般人士を招待して全部を公開する相であります*3 」

*3 雑報(1924), 海洋気象学会, 海と空4(3)

 クック25cm製造年の謎を7回にわたって探ってきました。結論として、クック25cmは1921年(一部はそれ以前の可能性も)から1923年の間に製造・完成したと考えるのが妥当だと思います。

 ところでクック社は、1929年の世界大恐慌のあおりで1930年には熟練工を大量に解雇しました。その結果、1932年に完成したグリニッジ天文台の子午儀は、十分な性能に達せず失敗作になったようです。(マーティン・ルン氏談)

 クック25cm屈折望遠鏡(神戸)は、クック社として最終盤に製造された、高い技術力の結晶だったのです。

中村鏡とクック25cm望遠鏡

2016年3月、1968年製の15cm反射望遠鏡を購入しました。ミラーの裏面には、「Kaname Nakamura maker」のサインがありました。この日が、日本の反射鏡研磨の名人との出会いの日となりました。FRP反射鏡筒として現代に蘇った夭折の天才の姿を、天体写真等でご紹介します。また、同時代に生きたキラ星のような天文家達を、同時期に製造されたクック25cm望遠鏡の話題と共にお送りします。

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