月面Xの日(1)

 昨日(2019.4.12)は、定例の星空ウォッチングが、バンドー神戸青少年科学館で開催されました。年度当初の平日の夜でしたが、50名ほどのお客様が来館されました。この日は「月面X」(月面中央部のウェルナークレーター北西のクレーター壁面の組み合わせがX状に見えること)が見えるということで、お客様にも説明しながら月(月齢6.8)を見ていただきました。ただ、観望開始が19:30過ぎだったので、「X」の底部にも光が届き始め、なかなか「X」が分かりにくい状態になってしまいました。

 「真ん中に見えているクレーターが重なっているあたりがそれです。」とご説明しても、「うーん、これかなー。」「たぶん、これだ。」とのお客様の反応。「おそらくそれです。」と、こちらは答えるしかありませんでした。さらに、分かりにくいとおっしゃるお客様には、「干からびたタコの足が絡み合ったような。」とか「ヒトデのあしみたいな感じです。」とお伝えする始末。やはり、「月面X」は、暗闇に浮かんでこそと思いました。

 観望後半、お子様連れの女性がいらっしゃた際、250倍で月の北部を見ていただきました。シーイングが乱れだしたのですが、「すごい、リアル。なんかドキュメンタリー見てるみたい。」「一瞬、すごく良く見える時があるわ。」と。写真をお見せして、「ここがアルプス谷で、その北が氷の海です。」とお話しすると、「じゃあ、あれがW.ボンドね。」と応えが返ってきました。「すごい、専門家ですよ。」と笑い合ったのですが、お見せする側の知識量によって、お客様の興味は高まるのだなと改めて思いました。

(参考:「月の地形観察ガイド」白尾元理著、誠文堂新光社、撮像データ、クック25cm屈折望遠鏡・セレストロン8-24mmアイピース・キャノンパワーショットS95コリメート撮像)

中村鏡とクック25cm望遠鏡

2016年3月、1943年製の15cm反射望遠鏡を購入しました。ミラーの裏面には、「Kaname Nakamura maker」のサインがありました。この日が、日本の反射鏡研磨の名人との出会いの日となりました。GFRP反射鏡筒として現代に蘇った夭折の天才の姿を、天体写真等でご紹介します。また、同時代に生きたキラ星のような天文家達を、同時期に製造されたクック25cm望遠鏡の話題と共にお送りします。

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