アポロ11号

 2019年は、アポロ11号の月着陸から50年目の年にあたります。米ソの対立から生まれたアポロ計画でしたが、アポロ12号以降は、月の科学的な探査に目的がシフトしていったことは、一般的にはあまり知られていないようです。

 2019年5月11日の星空ウォッチングは、アポロ11号の月着陸地点である「静かの海」付近を、クック望遠鏡でお客様に見ていただくことにしました。薄明が残る中、月齢6.2の月を担当のスタッフの方と一緒に見ながら、着陸地点付近の地形、クレーター等を確認していきました。

 「鳥の頭を横から見たような形が、トリチェリ。鳥だからトリチェリ。覚えやすいよね。」「マスケリンの南東にあるのが、アラゴ。」「アラゴとトリチェリを結んだ真ん中あたりが11号の着陸地点になりますね。」等々、話が弾みました。アラゴの北と西には溶岩ドームがあり、アラゴの東にはリンクルリッジ(静かの海形成に伴うしわ)も広がっています。

 「いろいろ見ていくと、月の地形はダイナミックですね。」スタッフの方が興奮して言われた言葉が印象的でした。まさに、月のことを知って見るのと見ないのとでは「月にスッポン」なんだなあと、自分の浅学を省みる時にもなりました。

 薄明中はシーイングが安定していて、250倍で観望していても像の崩れはあまり感じられませんでした。しかし、空が暗くなってから、シーイングが急に悪くなりました。ポートアイランドは海上都市なので、いわゆる陸風が吹き出したのでしょう。今回の写真はシーイングが悪い中での撮像になってしまいました。これからの季節、薄明が残っていても、凪(なぎ)の時間帯に偏光フィルターを使って撮像は済ませた方が良いのかもしれません。

(参考:「月の地形観察ガイド」白尾元理著、誠文堂新光社、データ:クック25cm屈折望遠鏡・セレストロン8-24mm接眼鏡・キャノンパワーショットS95コリメート撮像)

中村鏡とクック25cm望遠鏡

2016年3月、1943年製の15cm反射望遠鏡を購入しました。ミラーの裏面には、「Kaname Nakamura maker」のサインがありました。この日が、日本の反射鏡研磨の名人との出会いの日となりました。GFRP反射鏡筒として現代に蘇った夭折の天才の姿を、天体写真等でご紹介します。また、同時代に生きたキラ星のような天文家達を、同時期に製造されたクック25cm望遠鏡の話題と共にお送りします。

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