天王星

  2020年3月8日に、金星(-4.2等)と天王星(5.8等)が最接近(約2度)します。ただ、これからしばらくは、天候が崩れる予報が出ていましたので、3月6日の19:30ごろに双眼鏡で見てみることにしました。10倍の双眼鏡で金星を捉え、上の星図の星の並びと比べると、すぐに天王星の位置が分かりました。10倍の双眼鏡ですと、他の恒星との違いは分かりません。しかし、これが天王星かと思うと、水星と同じく「ヤッター」という気持ちになりました。

 天王星を発見(1781年)したのは、ウィリアム・ハーシェルです。ハーシェルは、元々音楽家でした。しかし、宇宙の構造を解明したいという気持ちが高まり、音楽家をやめ天文家になりました。そして、宇宙の構造を解明するために、次々と口径の大きな反射望遠鏡を作りました。その当時の反射鏡は、金属(銅の合金)の表面を磨いて作りました。ただ、金属の輝きがなくなると再研磨しなければならないという、大変な作業も伴っていました。ハーシェルが最終的に磨いた金属鏡は、口径1.2mにもなりました。

 ハーシェルは、最初は、天王星を彗星だと思っていました。新惑星発見と周りが騒ぐので、仕方なく、視直径の測定や軌道の計算をしなければなりませんでした。しかし、そのような作業は、宇宙の構造を解明したいというハーシェルにとっては、煩わしいものだったようです。

 ハーシェルは、天王星の発見以外にも、たくさんの研究や発見をしました。太陽系の研究・赤外線の発見・中間周期変光星の発見・連星の発見・太陽運動の立証・星雲の研究・そして天界の構造の研究などです。

 天王星を見ていると、これを発見したハーシェルとつながっているような気持ちになりました。なんとも言えない、感慨を覚えました。

(参照:「近代天文学の夜明け ウィリアム・ハーシェル」斉田 博著、誠文堂新光社)

中村鏡とクック25cm望遠鏡

2016年3月、1943年製の15cm反射望遠鏡を購入しました。ミラーの裏面には、「Kaname Nakamura maker」のサインがありました。この日が、日本の反射鏡研磨の名人との出会いの日となりました。GFRP反射鏡筒として現代に蘇った夭折の天才の姿を、天体写真等でご紹介します。また、同時代に生きたキラ星のような天文家達を、同時期に製造されたクック25cm望遠鏡の話題と共にお送りします。

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