清水真一氏のハガキ(12)

1934年9月29日 射場保昭氏の訪問

 「今回の台風 貴台幸に御被害等無之かりし趣 結構に存候 花山其他大阪の私設のもの等 相当被害有之候由 御気の毒に存候 昨夕射場氏御来訪 11時頃迄を台上に過(すごし)候 0時自動車にて静岡に戻り帰神なられ候 昭和9年9月29日夕 清水真 敬白」

 「昭和9年9月28日 土星観望中の射場氏 於 知新観象台」

 左は清水真一氏(1889-1986)、右が射場保昭氏(1894-1957)。戦前の天体写真の雄、西の射場氏と東の清水氏が対峙している様は、緊張感が漂います。射場氏の天体観測は1928年〜1945年の17年間、清水氏の天体写真撮影は1932年〜1945年の13年間。お二人が交錯した奇跡の瞬間です。

(参考文献)

日本アマチュア天文史,日本アマチュア天文史編纂会,恒星社厚生閣,1987

(資料は伊達英太郎氏天文写真帖より)

*崩し字の解読は、柴田哲男様(三木古文書研究会)にしていただきました。

中村鏡とクック25cm望遠鏡

2016年3月、1943年製の15cm反射望遠鏡を購入しました。ミラーの裏面には、「Kaname Nakamura maker」のサインがありました。この日が、日本の反射鏡研磨の名人との出会いの日となりました。GFRP反射鏡筒として現代に蘇った夭折の天才の姿を、天体写真等でご紹介します。また、同時代に生きたキラ星のような天文家達を、同時期に製造されたクック25cm望遠鏡の話題と共にお送りします。

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