金星と土星の掩蔽(2)

 今回は、静岡県島田の清水真一氏の金星の掩蔽写真をご紹介します。写真の左側が清水真一氏(1889-1986)、右側が彗一氏です。(1934年頃撮影)

  清水氏の本業は薬局経営でした。その傍ら、写真術(いわゆるDPE)も習得していました。また、富士写真工業の藤沢信氏の協力を得て、天文用高感度乾板の供給を受けていたそうです。

 上の写真には、五藤光学の10cm屈折赤道儀(木製ピラミッド三脚を鉄製に強化したもの)と、二連の8cmF3.5エルマジー人像玉が写っています。

 2枚の上が月全体と金星、下がその拡大になります。島田氏の写真には、土星は写っていません。1枚の印画紙に3コマの写真を焼き付ける技術など、島田氏の作品は素人の域を越えています。

 金星の掩蔽写真を撮影した、島田氏の撮影装置です。レリーズは写真機本体ではなく、付属のシャッターに付いているのが分かります。

 上は、東京天文台(三鷹)で撮影された、土星・月・金星です。これは、新聞記事のようです。

(写真は、伊達英太郎氏天文写真帖より )

参考文献:続日本アマチュア天文史,続日本アマチュア天文史編纂会,恒星社厚生閣,1994

中村鏡とクック25cm望遠鏡

2016年3月、1943年製の15cm反射望遠鏡を購入しました。ミラーの裏面には、「Kaname Nakamura maker」のサインがありました。この日が、日本の反射鏡研磨の名人との出会いの日となりました。GFRP反射鏡筒として現代に蘇った夭折の天才の姿を、天体写真等でご紹介します。また、同時代に生きたキラ星のような天文家達を、同時期に製造されたクック25cm望遠鏡の話題と共にお送りします。

2コメント

  • 1000 / 1000

  • double_cluster

    2020.06.20 02:28

    返信が遅くなり失礼しました。伊達英太郎氏の天体写真帳を見直していて、こんな現象があったんだなあと気づきました。12月20日ですから、夕方は既に暗く、幻想的な風景だったでしょうね。射場観測所では、客員研究員の井本進氏、助手の善野誠助氏が撮影に協力したようです。ところで、明日(6月20日)の部分日食楽しみですね。私は、ソーラースコープで見ようと思います。
  • manami.sh

    2020.06.16 11:49

    一回に、金星・土星と掩蔽が二倍も楽しめる現象、実際に見てみたいものです。