2018.02.24 08:44ファーストライト 再メッキ後、各部品の組み立てや光軸調整をし、ファーストライト(初めて星を見ること)を行いました。この望遠鏡は、斜鏡スパイダーが3本なので、星像には6本の放射光が出ます。とにかく、ピントの山が明確です。清潔感のある星像。土星を見たところ、カッシーニの空隙がヘアラインのように見えました。月を見ると、クレーターのエッジがキリッと締まって見えます。ミラーによって、これ程見え方が変わるのかと驚嘆しました。感動的な像です。 木辺成麿氏が、「中村要氏の磨いたミラーの何点かは現存している筈・・・とは言え、持っている方の秘蔵物になっているせいもあって、それが世に出てくる機会は多分皆無であろう」とインタビュー記事で語っておられました。 山本一清氏は、「反射望遠鏡」(中村...
2018.02.24 02:50中村要氏について 望遠鏡の整備と並行して、中村要氏についても調べ始めました。まず、「中村要と反射望遠鏡」(冨田良雄・久保田淳著、かもがわ出版、絶版)を入手しました。 中村要(かなめ)氏は、1904年4月1日、滋賀県の旧家の生まれです。中村氏は、同志社中学卒業後、第三高等学校(現京都大学)の入学を志すも叶わず、そのまま京都帝国大学宇宙物理学教室に無給の志願助手として勤め始めました。18歳の時です。その後、亡くなる1932年までの約10年間、天文学者として、超人的な働きをしました。微光流星、小惑星、火星、変光星、彗星、太陽、そして反射鏡研磨。中村要氏の資料は、京都大学学術情報リボジトリにたくさん残っています。 私は、中村要氏が反射鏡研磨をしていたことは、全く知りませんで...
2018.02.18 02:41機械部のメンテ 使用されない状態が長く続いていたため、各部品はグリスが固着したりサビが発生したりして、傷みが目立地ました。グリスはパーツクリーナーで落とし、CAT(中古望遠鏡ショップ)で購入した、高粘度グリスに入れ替えました。ネジ等の部品は真鍮が多かったので、サビや汚れは真鍮磨きを使って丁寧に落としました。木部はサンドペーパーで塗装を落とし、水性のオーク色で3度塗りを行いました。
2018.02.18 02:19ミラーの再メッキ 使用するにあたって、ミラーと斜鏡の再メッキが必要でした。再メッキの依頼先をいろいろ考えましたが、納期・料金を考慮して、ジオマテック株式会社に決めました。納期は3週間、ミラーが24000円、斜鏡が6000円、税込合計で32400円でした。なお、ジオマテックは、ビクセンとも取引がある大手の企業です。
2018.02.17 09:20ミラー裏面のサイン 1927年頃、中村要氏は、京都帝国理学部宇宙物理学教室助手として、鏡面研磨の研究を行っていました。作製したミラーは、西村製作所の経緯台に搭載されて販売されていました。15cm反射経緯台一式で、現在の貨幣価値に換算すると200万円ほどしたそうです。ミラー裏面には、鉛筆書きで「1927 .7.24西村にて再測定、中村」と書かれていました。再メッキの際、ジオマテック(メッキ業者)で消されてしまったのが心残りです。
2018.02.17 07:24中村要鏡との出会い 2016年3月、ヤフーオークションで落札した西村製作所製15cm反射経緯台が、私の許に届きました。ミラー裏面には、「Kaname Nakamura」のサインがありました。鏡は1927年、機械部は1943年製です。日本の反射鏡研磨のパイオニア、中村要氏との運命的な出会いの日となりました。