2018.04.28 01:45倉敷天文台(カルバー32cm反射望遠鏡) 2017年8月30日、岡山県倉敷市にある、倉敷天文台に行きました。有名な大原美術館などがある美観地区の南西にあります。天文同好会(現東亜天文学会)の岡山支部は、1920年(大正9年)11月に発足しました。1926年(大正15年)、カルバー32cm反射望遠鏡が購入され、倉敷天文台は民間初の天文台としてスタートしました。カルバー32cm反射望遠鏡設置に際して、中村要氏が開所式の前日まで調整していたという新聞記事が今も残っています。中村要氏が完璧と絶賛し、その後の氏の反射鏡研磨の手本としたミラーですが、現在は望遠鏡から外されて星を見ることはできません。ドーム内の1階は、彗星発見で有名な本田実氏の記念館になっています。予約をすれば、見学は可能です。(追記:中...
2018.04.24 04:28天体写真術 中村要氏は、天文学者として、多岐にわたる方面に業績を残しています。1921年(大正10)から、亡くなる1932年(昭和7)までの12年間に、流星・彗星・変光星・火星・小惑星(京大では小遊星)・天体写真・反射鏡研磨等の研究を行いました。それぞれの分野の日本におけるパイオニアの一人であり、今回ご紹介する天体写真術においても、当然日本の第一人者でした。 中村要氏の著書は、5冊あります。その中の1冊は、著者が逝去してから、山本一清氏と木辺成麿氏が編集し出版したものなので、存命中のものは4冊になります。「天体写真術」の「はしがき」が書かれたのは1932年6月です。亡くなる4ケ月前でした。これが、最後の著書となりました。 内容は、第1章「天体写真術」第2章「天体...
2018.04.23 06:47再研磨 中村鏡No.44の裏面に、1927marchのサインがあります。これは、研磨完了の時期を表します。ですが、中村氏の光学ノート44号には、「1928.Oct」の記述が付け加えられています。「1928.Oct」の意味は何だろうと、ずっと不思議に思っていました。 そんな時、「THE MILKY WAY 第5号」(伊達英太郎著、天文研究会、1934.3.30発行)を読んでいて、「1928.Oct」の謎が解けました。島田氏の、「日本における反射望遠鏡及びそれに繋がる人々」の文章中にそれに関する記述があったのです。以下は、その抜粋です。 「日本の反射鏡界が、故中村氏によって完璧の域に達したことは、何人も知るところである。(中略)水沢の山崎...
2018.04.22 06:45鏡面セルのふた 西村製作所製15cm反射経緯台の製造年は、1943年(昭和18)です。入手以来気になっていたのが、写真1枚目右のふたの存在でした。(左側は、筒口のふた)私は、さすが昔の望遠鏡は、丁寧な工作をしているものだとしか考えてきませんでした。そのため、冬場戸外から室内に入れる際に、鏡面の結露防止のために活用していました。この使い方が、本来の意図とは違うことが、「反射屈折天体望遠鏡作り方観測手引」(中村要著・新光社)を読んでいてようやく分かりました。第三章「鍍銀(メッキ)の注意」として、「鍍銀面は吸取り紙を入れた蓋さえつけておけば普通一年は使える。」とあります。第六章 十、「鍍銀面の注意」として、「日本では絶えず蓋さえしておけば田舎で二年、小都会で一年、工業都会...